第470回
資本主義の常識が通じない中国の田舎
「うちの村に投資した頂けたら、
最初の2年間は企業所得税を免除、
次の3年間は半額納めて頂ければ結構です。
いわゆる「二免三減」というやつですよ」。
こんな甘い言葉に乗せられ、
中国のとんでもない田舎に投資をして、
ひどい目にあった日本企業は数知れずあります。
日本企業は現金で出資するのに、
村側はタダ同然の土地で出資する。
村長の親族や友達というだけで、
全く仕事の能力がない人を、
やたらとたくさん雇わされる。
合弁会社は赤字なのに、
村から派遣された総経理は、
社用車のベンツを私用で乗り回す。
そして、一回も利益を出すことなく、
日本側が出資した現金を全部使い果たして倒産。
これが中国進出失敗の典型的なパターンです。
やっぱり、「企業所得税の減免」なんていう、
枝葉の部分で投資を決めちゃいけないんですね。
外貨保有高世界一となった中国。
しかし、「外国からの投資はもういいよ」
というのは、沿海部の大都市だけで、
中国の圧倒的大部分を占める農村は、
いまだに外資の誘致を、
村おこしの目玉に据えています。
このため、大都市では死語となった「二免三減」も、
農村部ではまだまだ生きているようです。
もちろん、きちんとした農村もたくさんあるのでしょうが、
中国では一般的に、田舎にいけばいくほど、社会主義的になり、
資本主義社会の常識が通じなくなっていきます。
このため、多くの農村では、
外資が投資してくれたお金を、
自分たちにくれたものだと勘違いしています。
だから、投資の話になると、
市長とか、村長とかが出てきて、
大接待をしてくれるんですね。
ま、日本でも、まだ一銭も稼いでいないのに、
投資家が投資してくれたお金を、
自分にくれたものだと勘違いして、
立派なオフィスや高級車を買っちゃう
ITバブルな人たちがいましたので、
人のことは言えませんが...。
中国ビジネスにかかわると、
いろいろなところから投資のお誘いがくるようになりますが、
「中国の田舎は資本主義の常識が通じない」
ということを肝に銘じる必要があると思います。
特に、これから中国で起業しよう、なんていう初心者は、
少なくとも、「投資というのは、
利益を生むためにするものである」という
資本主義の常識が通じる
北京や上海で商売を始めるべきなのです。
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