第464回
「北京白酒会」
実は私、現在、「北京白酒会」という会の
会長をしております。
この「北京白酒会」、
白酒を愛する北京在住の日本人の集まりで、
会長は私で6代目、という長い歴史を持つ会です。
会員数は約30名、
毎月、会員が出張に行った際に持ち帰った、
全国各地の白酒を持ち寄って、
中国料理のレストランに勝手に持ち込み、
盛大な宴会をしております。
白酒の「干杯!」「干杯!」に辟易していた私が
「北京白酒会」に入ったのは、
白酒というお酒を、「干杯!」なしで
味わってみたかった、という理由からです。
「北京白酒会」のルールでは、
「干杯!」の強制はなし。
更に、毎月、会員の方々が
全国各地の白酒を持ってきてくれますので、
一回の宴会で、様々な種類の白酒を飲むことができます。
そうやっていろいろ飲んでいくと、
白酒の味というのは、
メーカー、銘柄、産地、原料、アルコール度数などによって、
千差万別であることがわかります。
中には、内モンゴルの「牛乳白酒」なんていうのもあります。
この「牛乳白酒」、飲んだ時は普通の白酒なのですが、
後味があまーい牛乳の味なのです。
先月は、とうとう、
レストランで白酒を飲んでいるだけでは飽き足らず、
土曜日にバスをチャーターして、
北京市の北東の郊外にある
「牛欄山酒廠(にゅーらんしゃんじょうちゃん)」
という白酒の工場に行き、工場見学をしてきました。
この「牛欄山酒廠」は、北京を代表する白酒である
「二鍋頭(あーるごとー)」を生産している工場です。
工場見学の後に、従業員食堂で食事をさせて頂いたのですが、
個室に子供が入れるぐらい大きな壷が2つ置いてあり、
その壷の中になみなみと入っている二鍋頭は飲み放題でした。
「そんなにたくさん飲めるか!」と思いつつも、
工場のできたて二鍋頭、たっぷりと堪能させて頂きました。
中国の人たちに「北京白酒会」のことを話すと、
皆さん大変喜んで頂けます。
白酒は中国を代表するお酒であり、
中国の文化です。
その白酒を飲むのが好きな日本人の集まりがある、
というだけで、なんとなくうれしいみたいです。
確かに、東京に住む中国人の人たちが
「東京日本酒会」とか、「東京相撲研究会」とか、
そういう会を組織して、日本酒や相撲の研究をしていたら、
日本人として、ちょっとうれしいかもしれません。
現在、日中間には様々な政治的問題があり、
中国では「反日感情」が、日本では「嫌中感情」が、
短絡的な思考回路を持つ人たちの間に広がりつつあります。
しかし、本当の両国民の相互理解というのは、
「北京白酒会」とか、「東京日本酒会」とか、
そういった「相手のことを知ろうとする姿勢」から
始まるのではないか、と私は思うのです。
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