第444回
「うわ、これ不便だな〜」
今までずっと日本に住んでいた人が、
突然、中国に住みはじめると、
ものすごく不便で、不快な場所だと感じると思います。
首都北京も、近年の経済成長で
かなり便利で快適になってきたとはいえ、
日本に比べれば、やはり、
不便で不快なところはたくさん残っています。
ですので、日本人が北京に来て、
「日本にはあるが、北京にはないモノやサービス」
という観点で街を見ていけば、
1週間で100や200のビジネスアイデアを
思いつくのは造作もないことです。
ただ、北京に長く住んでいると、
そうした不便で不快なところとなんとか折り合いをつけて、
それなりに快適に暮らせるようになってきてしまいます。
これは精神衛生上は大変良いことなのですが、
こと、「中国起業」の観点から見れば、
この「慣れ」は良いことではありません。
最初っから「そういうもの」だと思っており、
現状にそこそこ満足している中国の人たちとの
差別化を図るためには、
中国に住みはじめた当時の、
「うわ、これ不便だな〜」とか、
「ものすごく不愉快」とか、
そういったフレッシュな視点を
持ち続けることが大切です。
かく言う私も、もうすぐ北京在住10年。
レストランのウエイトレスに横柄な態度をとられても、
マクドナルドで並んでいる時に、
後から来た人に列に割り込まれても、
あまり腹が立たなくなってきています。
非常に危険な状態です。
気をつけなければいけません。
レストランのウエイトレスに
横柄な態度をとられて腹が立てば、
ウエイトレスがみんなニコニコしていて、
やさしさにあふれたレストランを作りたい、
と思いますし、
後から来た人に列に割り込まれて腹が立てば、
入口に整理券発行機を置いて、
整理券の番号順にオーダーを取る、
というアイデアも生まれます。
不便を感じなければ、「改善しよう!」という
気持ちもアイデアも生まれません。
現状が「あたりまえ」で育ってきた中国の人たちが
思いもよらないような「半歩先のアイデア」は、
便利な外国から来た私たち外国人か、
便利な外国から帰ってきた中国人からしか出てきません。
中国に住むことは「中国起業」の
「最初の一歩」ではありますが、
あまりに現地化しすぎて、
生活に何の不便も感じなくなる状態になる事は
避けなければいけないと思うのです。
それは、私自身も含めて...。
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