第440回
「だれ?この人」
最近、中国では、
商品やサービスのセールスが、
日に日に激しくなっています。
セールスにもいろいろな方法があるのですが、
一番最初に流行ったのは、訪問セールスでした。
アポなしでいきなりオフィスに訪ねて来て、
文房具や飛行機の安売りチケットの
売り込みをするのです。
ひどいのになると、
ずかずかとオフィスの奥まで入ってきて、
バタバタと仕事をしている私に
いきなり話しかけてくる人もいました。
あまりになれなれしく話しかけてくるので、
私は思わず、
そばにいたスタッフに訊いてしまいました。
「だれ?この人」。
こうした訪問セールスは、
仕事の邪魔になりますので、
多くの会社では入口に
「謝絶推銷(しぇじゅえとぅいしゃお、セールスお断り)」
という札を出しました。
また、多くのオフィスビルも入居している会社から
セキュリティーの問題を指摘されたらしく、
訪問セールス目的の人を
ビルに入れないようにしたため、
最近では、こうした訪問セールスは
ずいぶん下火になりました。
この次に流行ったのは、e-mailによるセールスです。
e-mailによるセールスは、非常に低い原価で、
中国全土のたくさんの企業や個人に
セールスメールを出せますので、
自社製品の売り込みから、
「発票(ふぁーぴゃお、領収書)売ります」とか、
「卒業証書売ります」というようなあやしいものまで、
幅広い商品に使われています。
こうしたセールス目的のe-mailは、
削除に1秒もかかりませんので、
訪問セールスに比べれば、邪魔度は低いのですが、
中には、画像入りの力作を送りつけてくる会社もあり、
こうした非常に重たいセールスメールの受信に
えらく時間がかかったりすると、
無性に腹が立ってきます。
日本には「迷惑メール防止法」がありますが、
法治国家への道を歩み始めたばかりの中国の法曹界には、
そんな瑣末な法律を作っているヒマは当然なく、
現状中国では、セールスメールは送り放題となっています。
セールスメールはそれを見て買う人がいるから、
送る人が出てくる訳で、
みんなが買わなくなって、
送る人が「セールスメールは効果がない」と認識して、
やっとこ、送る人がいなくなります。
その日が来るまで、私たちは毎朝、
削除ボタンを押し続けなければならないのです。
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