第430回
悪名高き税関職員

中国の税関職員は悪名が高いです。
役人の中でも、一番余禄の大きい職種だ、
という事は、誰もが知っています。

それは、没収した食べ物を事務所で食べちゃう、とか、
そんなチマチマした話ではありません。

中国はWTOに加盟して3年が経ちましたが、
まだまだたくさんの輸出入規制があり、
自由貿易国とは言い難い状態です。
輸出入規制がたくさんあれば、
必然的に走私(ぞうすー、密輸)が生まれます。
他の人が輸出入できないモノや、
高い関税が課せられるモノを、
免税で輸出入する事ができれば、
そこに巨大な利益が生まれるからです。

税関職員も走私の貨物を
100%完璧に取り締まれる訳ではありません。
税関職員がまばたきをしている間に
走私の貨物が目の前を通り過ぎてしまう事もあり得ます。
まばたき1回で給料10年分の報酬がもらえるとしたら...。
税関職員も人の子です。
魔が差してしまう人がいても、不思議ではありません。

そんな事で、中国では、時々、
走私に荷担した、という罪で、
税関職員が逮捕されたりしています。
走私は国家の輸出入制度の根幹を揺るがす大罪、
という事で、中国政府も厳罰で臨んでおり、
金額が大きくなると確実に死刑になります。
悪徳税関職員も命がけです。

走私をしないまでも、
中国で輸出入や運送業に携わっている人は、
税関職員との関係を良い状態に保っておくに
越した事はありません。

当社も海外引越の仕事をしている関係上、
北京や天津の税関で
頻繁に輸出入の通関をしているのですが、
税関職員との関係構築については、
100%、シノトランスに任せています。
こんな事は、日本人がのこのこ出ていっても
どうなるものでもありません。

引越荷物は非貿易貨物ですので、基本的には、
全て免税で中国に持ち込む事ができるのですが、
税関職員の解釈によっては
課税になったり、免税になったりする
微妙なものも中にはあります。
そんな時に、税関職員との関係が良いと、
免税の方に解釈してもらえたりする様です。

いつもお話している通り、中国ビジネスにおいて、
こうした人間関係の構築には日本人の出る幕はありません。
この辺の事は、中国人同士の「あ、うん」の呼吸に任せて、
日本人は日本人にしかできない仕事をするべきかと思います。


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