| 第427回「国美電器」の「最初の一歩」
 「蒙牛」と同じく、現在、香港で上場している「国美電器」にも
 「最初の一歩」はありました。
 「国美電器」は中国の家電量販最大手で、中国本土及び香港に200店舗以上を展開、
 従業員4万人以上の大企業です。
 社長の黄光裕氏はまだ36歳の若さですが、
 昨年、個人資産105億元(1,575億円)で、
 中国富豪ランキング第1位に輝いています。
 しかし、その「最初の一歩」は、
 文字通りゼロからの出発でした。
 黄光裕氏は1969年、広東省汕頭の農村に生まれました。
 黄氏は4人兄弟の次男坊。
 家族は農業だけでは食べていけず、
 母親や子供たちが街に出て商売をして、
 何とか食いつないでいく様な生活でした。
 黄氏は17歳の時に一念発起、兄と一緒に内モンゴルに出稼ぎに出ました。
 電気製品の違法取引などに手を染めて
 警察に捕まったりしながら、
 何とか生計を立てていましたが、
 1987年、なけなしの4,000元(60,000円)と、
 人から借りた30,000元(450,000円)を元手に、
 北京の繁華街である前門に近い珠市口に、
 100m2足らずの小さな電器店を開きました。
 これが家電量販帝国を率いる
 中国一の大富豪の「最初の一歩」です。
 開業当時、中国の家電製品は外国製がほとんどで、国産品はあるにはあるが
 「安かろう、悪かろう」だったそうです。
 そんな時代に、黄氏は国産品の将来性に賭けました。
 国内メーカーから製品を大量に買い取る代わりに、仕入原価を下げさせ、その値下げ部分を原資として、
 国産電気製品を消費者に安く提供したのです。
 この商法が大当たりしました。国産品の品質の向上とあいまって、
 売上はうなぎのぼり、
 その後は北京でのチェーン展開、扱い商品の拡大、
 全国チェーン展開、不動産事業への進出、
 香港への進出、香港での上場などを経て、
 現在の地位を確立しました。
 黄氏は別に、特別な事をした訳ではありません。扱っている商品も普通の家電ですし、
 その商法も「大量に仕入れて、原価を落す」という、
 非常にオーソドックスなやり方です。
 時流に乗った、と言えばそれまでですが、今の中国では、普通の事を普通にやるだけで、
 とんでもない大金持ちになる可能性がまだまだあります。
 黄氏のサクセスストーリーは、
 そんな「チャイニーズドリーム」を
 再認識させてくれる様な物語です。
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