第378回
「2億6,000万人のデブ」

「中国には太った人はいない。
それは毎日ウーロン茶を飲んでいるからだ」
というのが、日本では定説になっている様ですが、
中国に住んで見ていると、
肥満体型の人はたくさんいます。

先日、中国衛生部が実施した
大規模な肥満調査によれば、
中国には標準体重を超える肥満人口が、
全人口の1/5に当たる
2億6,000万人もいる事が判明しました。

「2億6,000万人のデブ」ですよ!
誰ですか、
「中国には太った人はいない」
なんて言っているのは!

肥満の問題は、
経済的に豊かになりつつある大都市で、
特に顕著です。
成人肥満人口の割合は、
中国全国では全成人の29.9%なのに対し、
北京市では59.5%と、約2倍の数字が出ています。
やはり、人間、お金持ちになってくると、
まずは、お腹いっぱい食べる所から始めるのでしょう。

大都市で肥満人口が増えている原因は、
食べ過ぎで栄養過多になっている、という事の他にも、
仕事が忙しくなった事により、
運動する時間がとれなかったり、
食生活が不規則になったりした事も影響している様です。

これに伴い、肥満が原因で高血圧になったり、
糖尿病を患ったりする人も増えている様です。
高血圧の人の割合が全国で一番多い北京市では、
45歳以上の人口の半分以上が高血圧である、
という結果が出ています。

5時に仕事が終わったら、自転車に乗って家に帰って、
ご飯を作って、家族と一緒に食べる。
こんな「国有企業的生活」をしていれば、
肥満にもならず、
健康に生きていけるのかもしれませんが、
今の北京でこんな生活をしていたら、
同僚や同業他社との競争に負けて、
すぐに失業してしまいます。

これも、経済発展の為に支払わざるを得ない、
代償なのかもしれません。


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