第370回
「家に入る時は靴を脱いでくれ!」

北京の地元引越会社の引越料金は非常に安いです。
北京市内の引越であれば、
2トントラック1台分で200元(3,000円)ほどで済みます。

その代わり、梱包サービスなし、ダンボール箱代は別、
荷物の扱いも雑で、作業員も汚いです。

私も、起業して、
日本人駐在員用の高級アパートメントから、
家賃の安い中国人用マンションに引っ越すに当たって、
少しでもコストをセーブしようと思い、
地元の引越会社に引越を頼みました。

新居に着いた後、引越作業員たちが
新築のマンションなのに
土足でドカドカ入ってくるので、
「家に入る時は靴を脱いでくれ!」と言ったのですが、
これが失敗でした。

作業員たちの靴下は、
かなり長期間にわたって洗っていないのが
一目で分かるほど汚く、
足のにおいが新居に充満してしまいました。

足のにおいは、
作業員が帰ったあとに
いくら換気をしてもなくなりません。
フローリングの床板がにおいの元である事をつきとめ、
雑巾で拭くのですが、
どうも、床板に染み付いてしまっている様で、
何度雑巾で拭いてもにおいが取れません。

あまりに臭いので、
レモンの香りの芳香剤を買ってきて、
床板に大量に吹き付けたのですが、
これがまた失敗でした。
足のにおいとレモンの香りが混ざった、
何とも言えないにおいが家中に充満、
とても家の中で食事をする状況ではなく、
しばらくは毎日、外食を余儀なくされました。

その後、1ヶ月間、
とんでもなく臭い足のにおいと共に生活し、
今後、作業員が靴のままで家の中に入って来ても、
もう二度と「靴を脱いでくれ!」と言わない事を
心に誓いました。

その後、奇しくも自分が
引越の仕事を始める事になる訳ですが、
こんないやな体験をしましたので、
作業員の清潔さには徹底的にこだわっています。

やはり、「サービス」というのは、
提供者が消費者の立場になっていやな思いをしないと、
なかなか良くならないものなのかもしれません。


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