第369回
「買える」国有企業
今回の北京シノトランス包装運輸部の経営権取得により、
当社は、独自のトラック、倉庫などを所有する事となります。
ただ、それよりも資産価値として大きいのが、
「シノトランス」や「中国外運」というブランドを使って
商売をする権利を得た事です。
「シノトランス」と言えば、上場企業であり、
中国の運送業界の中では知名度は抜群、
その名前は誰でも知っています。
この事は「コカ・コーラ」のブランド価値が
700億ドルもあり、
同社の所有する生産設備や土地よりも
ずっと大きな価値を持っているのと同じです。
もっとも、私たちの新会社の件は、
「コカ・コーラ」と比べれば、規模的にはかなり、というか、
比べ様がないぐらい小さい話ではありますが...。
私も当初は、当社の様な個人企業が、
国有企業であるシノトランスの一部門を
「買える」とは思っていませんでした。
しかし、いろいろ調べていくと、
中国政府は、国有企業が自社の不採算部門の一部を、
民間企業に売却する事を「奨励」しているんですね。
民の活力を利用して、官の不採算部門を立て直す。
一時期日本でも流行った、いわゆる「民活」です。
国家が「奨励」していますので、
新会社は設立後3年間、
企業所得税が免税となります。
ただ、現状は赤字状態からのスタートですので、
まずは、売上の増加、経費の節減を図って、
黒字化する所から始めなければなりません。
国有企業が「どんぶり勘定な経営」をしていましたので、
黒字化の為に、解決しなければならない問題は山積、
前途は多難です。
もちろん、最初からガンガン配当を出せる様な、
超優良部門を買収できれば、それに越した事はないのですが、
そうした稼いでくる部門は、国有企業が手放さず、
「買う」事はできないのでしょう。
世の中、おいしい話はそうそうないものです。
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