第365回
人口13億人の中国で人手不足!?
多くの日本企業が中国に工場を作る目的は、
その安くて豊富な労働力にあるのではないでしょうか。
「中国内陸の農村部には、
約2億人の余剰労働力がある、と言われており、
必要であれば、いくらでも内陸から
安い賃金で労働者を連れて来る事ができる」、
というのが今までの常識でした。
しかし、昨年ぐらいから、
広東省や上海周辺で、労働者を確保できず、
人手不足に困る工場が出始めている様です。
これに伴い、労働者の賃金も上がっている様です。
「民工(みんごん)」と呼ばれる、
地方からの出稼ぎ労働者の月給は、
従来、700元(10,500円)程度でした。
しかし、現在、広東省では、少なくとも
1,200元(18,000円)以上の月給を提示しないと、
労働者が集まらないそうです。
実に、70%以上の人件費アップです。
人口13億人の中国で人手不足、というのは、
ちょっと耳を疑う様な話ですが、
「圧倒的な人件費の安さを背景とした
世界の工場としての中国」という見方も、
見直す時期に来ているのかもしれません。
今回の人手不足の原因は、
好調を持続する中国経済を背景に、
広東省や上海周辺で続々と工場が建設され、
労働者の需要に供給が追いついていない、
という事らしいです。
しかし、それに加えて、
たくさんの「民工」が故郷に帰っている、という事実も、
人手不足に拍車を掛けている様です。
中国では「農村、農民、農業」の
いわゆる「三農問題」が、
国家の根幹を揺るがす大きな問題である、
と言われています。
この問題を解決する為、
中国政府は農民の税金の減免、
農産物の高値買い取りなどを実行した為、
農民の収入は以前に比べて上がりました。
又、「西部大開発」や「東北振興」などの政策で、
内陸部の経済が活性化し、
内陸部にも雇用機会が発生する様になりました。
収入が同じなら、
故郷で働いて、両親と一緒に暮らし、
親孝行する方が良いに決まっています。
こうした理由で「民工」たちは、
広東省や上海周辺などの大都市で働くのをやめ、
続々と故郷に帰っていくのです。
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