第352回
優秀な中間管理職の確保

年間1億円稼いで
300万円しかもらえない日系企業は論外ですが、
1,500万円もらえる欧米企業でも不満な人は、
中国にはたくさんいます。
「だって、残りの8,500万円はどこいっちゃうのよ」
というのが彼らの考え方です。

こういう人は顧客と人脈を持って
さっさと会社を辞めて、起業してしまいます。
起業すれば、稼いだ1億円は
まるまる懐に入ってくるのですから...。

という事で、中国では、
ちょっと優秀な人材、ちょっと稼げる人材は、
みんな自分で会社を作って社長になってしまいますので、
圧倒的に優秀な中間管理職が足りません。

ともすれば、社長の下は、
実質、全員平社員みたいな状況で、
えらい細かい事まで、
全部社長が指示しなければならないので、
社長の携帯電話にひっきりなしに
社員からの電話が掛かってくる、
という会社もあります。

結果だけを見ると、今、日本でもはやりの
「フラットな組織」になっているのですが、
社長的にはかなりつらそうです。

一方の日本の会社では、
中国では起業してしまう様な優秀な人材が、
「部長」とか「課長」として、
それぞれの部や課の経営をしてくれますので、
社長がぼんくらでも、
何となく会社は潰れずに回ってしまいます。
日本の社長は、優秀な中間管理職の皆さんに、
心から感謝しなければいけないと思いますよ、
いや、ほんとに。

中国で優秀な中間管理職を確保しようと思った場合、
起業するより魅力のあるキャリアパスを
用意してあげなければなりません。

給料の大部分を歩合制にして、
成績が良ければ青天井で給料が上がる、とか、
能力が高ければのれん分けで
社長になる道を用意する、とか、
何しろ1人で会社を飛び出して起業するより
リスクが少なくて、なおかつ、
将来の夢が描ける様な制度を用意する事が、
最終的には、本人の為にも、会社の為にも
なるのではないでしょうか。


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