第328回
5年もの定期、3.60%

中国政府としては、
現体制を揺るがしかねないインフレを、
何としてでも抑えなければなりません。

そもそもインフレは、
国内の貨幣の流通量が必要以上に多くなる事によって、
貨幣の価値が下がり、相対的に物価が高くなる、
という現象です。

中国にとって最も効果的なインフレ防止策は、
人民元の切り上げです。
人民元を切り上げれば、中国の輸出品は、
外貨建てでは今までより割高となり、
輸出量が減りますので、外貨の収入も減り、
国内の人民元の流通量も減ります。

しかし、人民元の切り上げは劇薬です。
使いすぎると、中国の輸出競争力は低下し、
中国製品は世界的に売れなくなり、
国内の産業が壊滅的なダメージを受ける可能性があります。
この為、中国政府は、
諸外国からの人民元切り上げ圧力をのらりくらりとかわして、
他の方法でインフレを抑えようとしています。

10月末、中国人民銀行は金利の引き上げを行いました。
貸出金利が1年もので5.31%から5.58%に、
預金金利が1年もので1.98%から2.25%に、
それぞれ0.27%上昇しました。

金利の引き上げも、
国内に出回る人民元の流通量を抑え、
過熱気味の景気を抑え、
延いてはインフレを抑える有効な手段です。
1年もので0.27%という小幅な利上げですが、
これにより中国政府が、
人民元の切り上げではなく、
当面は他の方法でインフレを抑えていく、
という事がはっきりした、と言われています。

今回の金利の切り上げで、
5年ものの預金金利は2.79%から3.60%に上昇、
0.81%の大幅アップとなりました。
3.60%と言えば、下手な中国株の配当よりずっと高いです。
更に、5年後に人民元が切り上げられていたら、
為替差益、というおまけも付きます。

当面使わない投資資金があったら、
ろくでもない中国株を買って、
値下がりしないかハラハラするよりも、
人民元を買って、
5年ものの定期預金に入れておく方が、
賢いやり方なのかもしれません。


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