第316回
「中国茶を飲むなら日本に限る」
最近は日本でも中国茶のファンが増えて、
中国茶葉を専門に売る店や、
中国茶専門の喫茶店などが出来ていると聞きます。
しかし、そういう所で売っている中国茶は、
非常に高級なもので、
私たちが中国で飲んでいるものより
ずっと高いものの様です。
ここ本場中国では、中国茶は非常に身近なものです。
中国の人たちは必ず、
中国茶を飲む為のマイカップを持っています。
朝、出勤するとマイカップに茶葉を入れ、
そこに直接お湯を入れます。
日本の様に急須で濾したりはしません。
直接お湯を入れると茶葉が浮いて飲みにくいのですが、
こちらの人たちは浮いている茶葉を
ふーふー吹いて片方に寄せ、
茶葉が戻ってくる前に素早く飲みます。
器用なものです。
タクシーの運転手もみんな、
マイカップを持っています。
タクシーの運転手の場合、
運転中にこぼれるといけませんので、
蓋がしまるマイカップを使います。
市販の蓋付きマイカップを持っている人もいますが、
ポピュラーなのはネスカフェの空き瓶です。
ネスカフェの空き瓶は大きいので、
お湯を注ぎ足すチャンスが少ないタクシーの運転手は
重宝している様です。
北京の人たちが飲んでいるのは、
一般的にはジャスミンティーです。
中国語では花茶(ほあちゃー)と言います。
値段的には1斤(500g)10元(150円)ぐらいのものです。
1日に使う茶葉は5g程度ですので、
10元分買えば100日は楽しめます。
一方、日本で人気のある
台湾の凍頂烏龍茶(どんでぃんうーろんちゃー)などは、
1斤1,000元(15,000円)以上する茶葉がざらにあります。
庶民が飲む花茶の100倍の値段です。
10元分買っても1日しか楽しめません。
昔、ある日本人がブラジルに行って、
楽しみにしていた本場のコーヒーを飲んでみた所、
全然おいしくない。
「なんで本場なのにおいしくないんだ」と文句を言った所、
ブラジル人曰く、
「一級、二級の豆はみんな日本に輸出されるから、
ブラジルで買えるのは三級品以下なんだ」との事。
結局、世界で一番おいしいコーヒーが飲めるのは
日本だった、という笑い話がありました。
今後、日本の中国茶ブームが更に加速すると、
中国茶の世界でもブラジルのコーヒーと同じ事が起こって、
「中国茶を飲むなら日本に限る」という事になるかもしれません。
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