第297回
高付加価値社会の賜物、「専業主婦」
日本のサラリーマンは労働生産性が低い、と言われますが、
家族を養っていけるだけの収入がある事自体、
十分に付加価値が高い仕事をしている、
と言えるのではないでしょうか。
付加価値の低い仕事をしていて、
それに応じて給料が低かったら、
奥さんと子供を養っていく事は出来ません。
日本では「中国は女性の社会進出が進んでいる。
日本も見習うべきだ」と言われていますが、
中国の大部分の働く女性は
「旦那の稼ぎだけでは食っていけないので、
仕方なく働きに出ている」
というのが実情なのではないでしょうか。
「専業主婦」というのは、高付加価値社会の賜物なのです。
そういう意味では、今後、
中国も社会の高付加価値化が進むにつれて、
働く必要がない「専業主婦」が
増えていくのかもしれません。
もっとも、中国には優秀な女性がたくさんいますので、
妻の収入で養われる夫、
「専業主夫」の方がもっと増えるかもしれませんが...。
ただ、中国の女性から見ると、
日本の「専業主婦」というのは、
非常に不思議な存在らしいです。
せっかく大学や短大で高度な知識を習得したのに、
就職して数年、能力を発揮する前に、
結婚とか、出産とかで働かなくなってしまう。
家事や育児は、
大学や短大を卒業しなくても出来る仕事です。
そうした仕事は、お手伝いさんにやってもらって、
自分は高度な知識を生かした付加価値の高い仕事をしないと、
宝の持ち腐れじゃないですか、
というのが、彼女たちの意見です。
確かに高等教育を受けた女性が働きに出れば、
お手伝いさんに払う給料より、
ずっと高い収入を得られるはずですから、
その差額分、世帯収入が増加して、
より豊かな生活を送る事が出来ますし、
働きに出る女性自身にとっても、
自分の能力を発揮出来る舞台が増える訳ですから、
より充実した人生を送る事が可能となります。
日本では今、少子化が問題となっています。
生まれてくる子供の数が少ないので、
将来、働き手が足りなくなってしまう、という問題です。
人口の増加を
何とか一人っ子政策で食い止めようとしている中国とは、
正反対の悩みです。
ただ、日本の少子化の問題も、
今まで働きに出ていなかった「専業主婦」が働きに出て、
高度な知識を生かした
大きな付加価値を生み出す仕事をすれば、
働き手が足りない、という事態は
避けられるのではないでしょうか。
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