第295回
副業として代理店やらせてください

私の会社では、日本のADSL電話会社の
北京の代理店をやっています。
この商品は、ADSLを利用する事により、
月2,000元(30,000円)で日本への電話が
かけ放題になる、という優れものです。

先日、ある日系大手電器メーカーの
中国人スタッフの人から、
「ADSL電話の代理店をやりたいので、
詳しい話を聞かせて欲しい」という電話をもらいました。

代理店の募集など全くしていなかったのですが、
この電器メーカー、
名前を聞けば誰でも知っている超大手企業ですので、
「こんな大手企業に販売をサポートしてもらえば、
契約数激増は間違いなしだな」と思って、
話をしに行きました。

一通り商品の説明をした後、
「代理店契約を結ばせて頂いた場合、
どういう販売体制をとって頂けるんでしょうか」
と訊いた所、
「えっ、私1人ですよ」との回答。
自分は会社の営業の仕事で
日系企業を訪問する機会が多いので、
その際に一緒に売り込む、という話でした。

更に、「コミッションは
私の個人口座に振り込んでください」との事。
要は、大手電器メーカーとして
販売をサポートしてくれるのではなく、
彼個人が、副業として代理店をやりたい、
というだけの話でした。

結局、代理店の話は丁重にお断りしましたが、
彼の金儲けに対するバイタリティーには、
ある意味感心してしまいました。
「日系企業への営業の際に、
何かついでに売れるものはないか」と自分で考え、
代理店の募集もしていない会社に飛び込みで電話を掛けて、
代理店契約の交渉をする。
無謀と言えば無謀ですが、それでも大した根性です。

確かに、本業の営業を死に物狂いでがんばって、
商品を売りまくって、
会社に多くの利益をもたらしたとしても、
自分に給料として還元されるのは、
その利益のほんの一部分。
それなら、副業で代理店をやってがんばった方が、
売上がダイレクトに収入に結びつきますし、
うまく行けばそちらを本業に出来るかもしれません。

就業時間中に副業をするのは、いけない事です。
しかし、私も、
会社にもたらした利益が
ほんの一部しか給料として還元されないのが嫌で
サラリーマンを辞めた口ですので、
彼の気持ち、よーく分かるのです。


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