第289回
「知り合いの中国人立地」

先日、お話を聞いた日本のIT関係企業の方は、
湖北省の武漢に現地法人を設立したそうです。
「ITの会社がなんでまた武漢なんですか?」とお訊きした所、
「中国進出の手引きをしてくれた、
知り合いの中国人の人が武漢の出身で、
武漢市政府に友達がいるので、
会社設立手続がスムーズに出来ますよ、と言われたから」
との事でした。

通常、中国進出を考える場合、
「生産立地」か「市場立地」かで悩む所なのですが、
この会社の場合はそのどちらでもなく、
「知り合いの中国人立地」になっちゃってます。
更に、多分、市の人民政府に友達がいなくても、
会社設立手続はスムーズに進んだと思いますので、
別に武漢市に現地法人を設立する必然性は
何もなかった様に思います。

そして、武漢市政府の友達にいろいろと働いてもらう為の
「活動資金」という名目で渡した、
領収書の出ない、ある程度まとまった額のお金は、
多分、全額、その「知り合いの中国人」の懐に
入っているのでしょう。

しかも、その「知り合いの中国人」と知り合ったのは、
ほんの半年前、それも東京の中華料理屋で、
というから驚きます。
なんでそんなにすぐに人を信用できるかなぁ...。

今後、このIT関係企業は、
武漢なんかに現地法人を作ったばっかりに
えらい苦労を強いられるのでしょう。
そして、そうした状況を打開すべく、
今後もその「知り合いの中国人」の「武漢人脈」を使って、
「活動資金」を搾り取られていくのでしょう。

確かに、中国に進出するに当たっては、
現地の事情に詳しい人の手引きが必要ですし、
言葉の問題がありますから、
間に入って通訳をしてくれる人も必要です。
しかし、それは、日本語が話せる中国人なら
誰でも良い訳ではありません。
中国人の中には、ずるい人もいれば、頭の悪い人もいます。

やはり、中国進出に当たっては、ちょっとお金は掛かっても、
実績もあって、ちゃんと組織で対応してくれる
コンサルティング会社などにサポートをお願いした方が、
最終的には良い結果が出るかもしれません。
逆に、ちゃんとしたコンサルティング会社に払うお金も
惜しいぐらいの利益しか見込めないビジネスならば、
最初からやらない方が良いのではないかと思うのです。


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