第269回
「お前も「サラリーマン業主」か?」
私は北京に来て以来ずっと、
日本人用アパートメントに住んでいたのですが、
家賃は会社が全額負担してくれていました。
2001年、会社を辞めて起業するに当たって、
その家賃を調べた所、
東京のマンションの家賃よりはるかに高く、
とても収入ゼロの人間が住める様な所ではない、
という事が分かり、
郊外の中国人用マンションを借りる事にしました。
妻と3人の娘に、
「都落ち」の様な感覚を味あわせてはいけない、と思い、
新築186u、という分不相応なマンションを借りましたが、
家賃は月7,000元(105,000円)。
日本人用アパートメントに比べれば、はるかに安い金額でした。
その賃貸契約の契約相手が
そのマンションを買った「個人業主」でした。
その「個人業主」、
本業は医薬品関係の会社の
「老板(らおばん、オーナー経営者)」との事なのですが、
このぐらいの大きさのマンションを、
全部で20部屋持っている、との事でした。
20部屋全部賃貸に出せば、月の家賃収入はざくっと計算して、
7,000元(105,000円)×20部屋=14万元(210万円)。
ここに本業の収入を合わせれば、ものすごい収入になります。
金持ちはどんどん金持ちになるのが、
「超資本主義国家」である今の中国です。
こうした「資本主義の権化」みたいな
「個人業主」がいるかと思えば、
会社勤めの傍ら大家をやっている
「サラリーマン業主」もいます。
「サラリーマン業主」の場合、投入できる金額が小さい為、
小さなワンルームマンションを1つだけ持っている、
という様なケースが多く、
家賃収入も「生活費の足しになれば」程度の場合が多い様です。
飽くまで本業が主な収入なので、
家賃交渉をする為に昼間電話すると、
「今、本業の方が忙しいので、後で電話します」
と言われたりする事もある様です。
しかし、こうした「サラリーマン業主」も、
2部屋、3部屋と買っていけば、
本業の収入を上回る家賃収入を得る事も可能です。
そういう人たちは、会社側との賃金交渉でも、
「このぐらいの給料を頂けなければ、辞めさせて頂きます」
という様な、かなり強気の交渉が出来るのではないでしょうか。
うちの会社でも、強気の賃金交渉をしてくる従業員がいると、
ついつい「もしかして、お前も「サラリーマン業主」か?」
と思ってしまいます。
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