第251回
「プロ意識」と「縄張り意識」
「プロ意識」と「縄張り意識」は、
似ている様で大きく違います。
中国で従業員を雇うと、
「縄張り意識」はあるが、「プロ意識」はない、
という人が多い事が分かります。
「プロ意識」も「縄張り意識」も、
その人の仕事の専門性に関係する言葉には違いないのですが、
その違いは、仕事に対する責任感なのではないかと思うのです。
一般的に中国の人たちは、自分の仕事に対する
「縄張り意識」が非常に強いです。
自分以外の人でもその仕事が出来る事が分かってしまうと、
職を失ってしまう可能性があるからです。
それは、上司と部下の関係でも同じです。
日本企業では部下が上司の仕事にもチャレンジしようとすれば、
上司は部下の成長を喜ぶのが普通です。
しかし、中国では、
上司は絶対に自分の仕事を部下にやらせようとはしません。
部下にやらせてみて、万一、自分並みに、
へたをすると自分以上にうまくできてしまったら、
自分の地位を部下に取って代わられる可能性があるからです。
中国では会社での地位が高い人ほど忙しそうにしているのは、
部下に仕事を任せない事も、その一因であると思われます。
一方で、彼らは自分の担当以外の仕事は
全くやろうとしません。
「私は財務担当として雇われたのに、
どうしてお茶汲みをしなければいけないんですか」とか、
「私は営業担当なので、
掃除だったら掃除夫を雇ってください」
という様な事を平気で言い放ちます。
こんなですので、中国の会社は、
そんなに規模の大きな会社でなくても、
お茶汲み担当者がいたり、
掃除夫を雇っていたりします。
ま、人件費安いからいいんですけど...。
小さな会社でそんな人たちを雇う余裕がない会社では、
財務担当者や営業担当者に対して
「あなたの給料にはお茶汲みや掃除の代金が
○○○元分入っているんですよ。
お茶汲みや掃除をやって頂けないなら、
来月から給料が○○○元減りますけどいいですか」
という話をしなければなりません。
それでも「私は専門家だから...」と言い張る人は、
辞めてもらうしかありません。
こうした「専門家」である財務担当者や営業担当者が、
自分の担当で「プロ」と呼べる仕事をするかと言うと、
それがそんな事はないのが困ってしまう所です。
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