第227回
いいじゃない、マクドナルドぐらいAA制で
中国人の友人と食事をする場合、
お勘定を割り勘にする事はまずありません。
必ず、誰かが全額払います。
一応、中国語でもAA制(えいえいじー)と言う、
割り勘を表す言葉があるのですが、
日常生活ではほとんど使われません。
だいたいが、AA制という言葉は、
「あなたもAを払い、私もAを払う制度」という意味の、
新しく作られた造語で、
旧来、割り勘という概念そのものが、
中国には無いのかもしれません。
誰が払うかは大いにもめる所です。
みんな払いたくなくてもめるのではなく、
みんな払いたくてもめるのです。
食事をみんなにおごる、というのは、
非常にメンツが立つ事ですので、
みんな自分がお勘定をしたがります。
お勘定の紙を持って来たウエイトレスが、
「お勘定は俺が払う」、
「いやこっちだ、こっちに持って来い」という
2人のお客さんの間に挟まれ、
オロオロする、というのもよく見られる光景です。
中には、お勘定の紙を奪い合って、
無理矢理自分が払おうとする人たちまでいます。
先日、マクドナルドに行った所、
後ろにたくさん人が並んでいるにも関わらず、
誰がおごるかでもめているおじさんの集団がいました。
みんな100元札を持った手を前に出し、
マクドナルドのレジのおばさんに無理矢理お札を握らせて、
自分が払おうとしています。
いいじゃない、マクドナルドぐらいAA制で。
中国の友人に食事に誘われて行ってみると、
やたらと人数がたくさんいる事もあります。
「誰よ、この人たち」と訊くと、
「俺の友達」という事で紹介をしてくれます。
先日、弁護士の友人に誘われて食事に行った所、
彼の友人が10人ぐらい集まっていました。
不動産会社社長、北京電視台ディレクター、公安局職員、
モデル、デザイン会社社長など、顔ぶれは多種多彩です。
参加者全員の得意技を持ち寄れば、
その場で何かプロジェクトを立ち上げられそうなメンツです。
参加者には彼の旧知の友人もいますが、
友達に呼ばれて初めて来た、という人もいます。
中国の人たちはこういう会食で友達の輪を広げて、
いざという時にお互いにお願いしやすい
人的ネットワークを作っているんですね。
この会食のお勘定は弁護士の彼かと思いきや、
全額、不動産会社社長。
理由は「彼は掃いて捨てるほどお金を持っているから」
との事でした。
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