第202回
中国がくしゃみをすれば...
2010年には、中国の年間石炭消費量は18億トンに、
年間粗鋼生産量も4億トン近くまで
増加する事が予想されています。
また、中国の石油輸入量も今後、
大幅に増加していく事が予想されています。
1993年に純輸入国に転落して以来、
中国の石油輸入量は毎年増え続け、
2010年には年間総需要量の1/3に当たる
1億トンを輸入する事が見込まれています。
2020年には年間輸入量は2億トン近くまで増加し、
米国に次ぐ世界第2位の石油輸入国となる事が予想されています。
その昔、毛沢東主席は米国大統領との会談の際に
「中国の全人民が一斉にジャンプすれば、
理論的には地球の軌道を変える事も出来る」と脅したそうです。
いっせいのせ、で机から一斉に飛び降りる中国全人民。
軌道を外れて太陽からどんどん遠ざかって行く地球。
想像するだけで、核爆弾よりずっと怖いです。
毛沢東主席の意図する所は、
我々中国を甘く見るな、という事なのですが、
その頃の中国は、人口が多い事だけが武器でした。
その後中国は、軍事力を増強する一方で、
積極的な外交政策を展開。
特に、アフリカ、アラブなど第三世界諸国との外交を重視し、
国連での発言力を増していきました。
アフリカ、アラブの小国でも、
国連では大国と同じ1票が与えられていますので、
そうした国々を味方に付ける事によって、
国連で中国の意見を通し易くする事が可能となります。
そして、現在、中国は人口や軍事力、政治力だけでなく、
経済的にも世界にとって
益々無視の出来ない存在となりつつあります。
その影響力は日本経済にとって、向かい風にもなりますし、
追い風にもなります。
実際、つい最近まで日本の産業界では、
生産コストの安い中国製品に国内市場を荒らされて、
工場は閉鎖、従業員は解雇、どうしてくれる!
という「中国悪玉論」が主流でした。
しかし、今では、中国の未曾有の好景気の影響で、
日本の鉄鋼、造船、海運といった、
どちらかと言えば斜陽産業と目されていた業界が息を吹き返し、
中国のお陰で雇用が増える、という状態になっています。
「アメリカがくしゃみをすれば、日本経済が風邪をひく」
というのは、今は昔。
今や「中国がくしゃみをすれば、日本経済が肺炎になる」
と言う時代が到来しようとしているのではないでしょうか。
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