| 第186回「人生、その分取り戻しちゃる!」
 中国は1人っ子政策の為、各家庭は子供の教育にはお金を惜しまない、と言われています。
 故に、日本企業が日本の進んだ教育産業、
 例えば、知育玩具、通信教育、塾、予備校などを
 中国に持って来ればビジネスになるのではないか、
 と思っていましたが、
 こなしきれないほどの宿題が学校から出される事を考えると、
 子供たちは学校の宿題以外の事をする余裕が無く、
 意外とマーケットは小さいのかもしれません。
 そこは、少子化で子供の数が減っているとは言え、学校の勉強だけやっていては競争に勝ち残れない日本の方が、
 まだまだ教育産業が活躍する余地があるのかもしれません。
 こうして中国の教育事情を見てくると、中国の若者たちが今まで苦労してきた分を取り戻すべく、
 上昇志向剥き出しで少しでも条件の良い会社に
 転職を繰り返す気持ちも分からないでもありません。
 「宿題と試験に明け暮れ、
 恋愛も、アルバイトも、遊びも存分に出来なかった俺の青春。
 絶対に大金持ちになって、人生、その分取り戻しちゃる!」
 と思うのはごく自然な成り行きです。
 一方の日本は、「ゆとりの教育」という事で、中国の学校に比べれば十分生ぬるかった学校の勉強を、
 更に緩くしています。
 実際、我が家の長女と次女は、
 日本のカリキュラムに沿って授業が行われる、
 北京日本人学校に通っているのですが、
 毎日、ほんの少しの宿題を終わらせると外で遊び惚けており、
 学校から帰って夜10時過ぎまで
 宿題をし続けている青雲とは対照的です。
 日本は「受験戦争」や「詰め込み教育」への反省から、「ゆとりの教育」への道を選んでおり、
 それはそれで一概に「悪い」とは言えないのですし、
 フリーターをして日々生活出来るだけのお金を稼ぐ為には、
 そんなに高度な教育は必要ありません。
 しかし、中国の学生が恋愛もアルバイトも遊びも打ち捨て、
 必死になって宿題をこなし、試験をクリアし、
 社会に出てからも上昇志向剥き出しで
 仕事をしている様を見ていると、
 全速力で疾走する中国が、ふらふらと歩く日本を抜き去る日も、
 そう遠くは無いのではないか、と思えてしまうのです。
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