第181回
北京のオフィスへの投資は?
次に北京のオフィスへの投資ですが、
マンション同様、オフィスも供給過剰状態が続いています。
北京のオフィスの賃貸料は、マンションよりも値下がりが激しく、
現在は私が北京に来た1996年と比べて、
半額以下になっています。
北京に来た事がある方なら良くご存知ですが、
現在、北京はオフィスビルもマンションも
ものすごい勢いで建設が進んでいます。
街を歩いていても、
ビル建設用のクレーンが視野に入らない事はありません。
マンションの場合、
取り壊された古い住宅に住んでいた人が入居する、
という需要が考えられますが、
オフィスビルの場合、
今、すごい勢いで建設されているオフィスの数と同じ数だけ
会社が出来ているとは、とても思えません。
実際、現在の北京のオフィス供給面積は、
1996年比で10倍以上になっており、
空室率も平均で15%を超えている様です。
新築のオフィスビルの中には、オープンしたのは良いのですが、
空室率が70-80%、という所もある様です。
今後、この供給過剰状態は改善するどころか、
更に拍車がかかる事が予想されています。
というのは、国際貿易中心を中心とした
CBD(Central Business District)に、
今後、「こんなに建ててどうするの?」というぐらい
たくさんのオフィスビルが建設される予定があるからです。
CBDの全体的なデザインは、
最終的にアメリカの建築設計会社が受注した様です。
先日、その計画模型を見ましたが、それはそれは強烈です。
既に建設済みの国貿大厦や京広中心も
50階前後ある立派なビルなのですが、
CBDの計画模型では、これらのビルが小さく見えてしまうほど、
大きくて高いビルが林立する計画になっています。
一番高いビルは88階建になるそうです。
「8」は発音が「発財(ふぁーつぁい、お金持ちになる)」の
「発」に似ている為、中国では縁起の良い数字とされています。
「88」となると「発」が2つ重なって大変縁起が良いのですが、
北京の供給過剰のオフィス市場を考えると、
需要も見込めないのに、縁起を担ぐ為だけに
不必要にビルを高くしているとしか思えません。
こんな状況ですので、北京のオフィス賃貸料は、
今後も下落する事はあっても上昇する事は無いと見られています。
我々、北京でオフィスを借りている者にとっては、
この状況は有り難い事ですが、
投資する人にとっては、
余り良い投資先とは言えないのではないでしょうか。
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