第146回
お見事!上海豫園の漢方薬茶屋
先日、上海に出張に行った際に、
お客様と一緒に豫園に行きました。
豫園は明の時代の政府の高官が、
自分の両親を喜ばせる為に作ったと言われる庭園で、
その美しさから「江南の名園」と呼ばれています。
この豫園の中に漢方薬茶を売っているお店があるのですが、
その販売手法の巧みさは「お見事!」としか言い様が無いほど、
すばらしいものでした。
まず、豫園の中を歩いていると、若い女性が寄って来て
「日本語で豫園の解説をさせてください」と言うのです。
またどうせ解説が終わった後に、
ガイド料を請求されるのではないかと思って
「要らない」と言うと、
「無料ですから安心してください」と言うのです。
一通りの解説が終わると、女性は本当にお金を取らず、
「どうもありがとうございました。さようなら」と言うのですが、
最後に、「そこの休憩所で豫園の入場券を出すと、
タダでお茶が飲めます」と付け加えるのです。
それも強制する訳では無く、
「よろしければどうぞ」という感じで。
せっかくの権利を放棄してしまうのももったいないし、
豫園の中を歩き回ってちょっと疲れたので、
タダならちょっと休んでお茶でも飲んでいくか、
という事になってみんなで休憩所に入ると、
日本語を話せる男性が工夫茶の方式でお茶を淹れてくれます。
お茶を飲んでいるとその男性が
「実は今飲まれているお茶は、漢方薬茶です」と話を始めます。
男性は10種類の漢方薬茶の
名前とその功能が書かれた紙を配ります。
その功能は漢方薬茶の種類によって、
肥満、冷え性、肩こり、便秘から糖尿病、肝硬変、癌まで
考えられる限りほとんど全ての病気が網羅されています。
この紙に書かれている病気で、1つも心当たりが無い、
という人はいないと思います。
男性は流暢な日本語で
それぞれの漢方薬茶の飲み方や功能を説明していきます。
時にはクイズも交えて、各漢方薬茶の魅力を紹介して行きます。
そして、実際に各漢方薬茶を淹れて飲ませてくれたり、
茶葉を食べさせてくれたりします。
「ジャパネットたかた」もビックリの、すばらしい実演販売です。
そんな中でお客さんは、
自分、又は、親兄弟、親戚、友人の病気を思い浮かべ、
自分ならこのお茶が適している、とか、
あの人にこのお茶を贈ったら喜ばれる、とか、
自発的に自分の中で買うお茶の選択を始めてしまうのです。
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