第113回
楽勝!国有企業生活
中国では国有企業に勤めるか、私営企業に勤めるかで、
その人の生活やその後の人生に大きな差が出て来ます。
中国は社会主義国家とは思えない様な
超資本主義的な変貌を遂げていますが、
国有企業は一応今でも社会主義経済の尖兵として、
労働者の雇用を確保し、生活を保障する役割を担っています。
一般的に国有企業に就職すると、
住居は家賃ただ同然の社宅、
出退勤は会社の手配したバスで送り迎え、
昼食は会社の食堂でただ同然の食事、
生活物資は定期的に会社が支給、
医療費、教育費も会社が負担、
定年後も死ぬまで生活が保障される、
と至れり尽せりで、
普通に生活していれば、ほとんどお金を使う事はありません。
仕事も比較的楽で、ほとんど定時に帰れます。
以前、東京から中国に出張してきて、地方の国有企業に行った際に、
朝の10時に同社の従業員が
卓球に興じていたのを見た時にはビックリしました。
当時、私は丸紅東京本社で、
毎日朝7時から夜10時、11時まで働き詰めで、
オフィスは仕事をする場所だと思っていましたので、
オフィスに卓球台が設置されている事自体、
かなりの驚きだったのですが、
就業時間中、それも朝の10時からたくさんの人が
卓球で遊んでいるのを見た時には、
一種のカルチャーショックを感じました。
国有企業では仕事が無ければ、
卓球をしたり、同僚とおしゃべりしたり、
新聞を読んだりするのは自由らしいです。
日本の会社では、普通、従業員を暇にさせる事は、
上司が部下を使いこなしておらず、
人件費の無駄遣いをしている、という事になりますし、
従業員自身も仕事が無ければ、自分で仕事を見つけて、
業績の向上を図ります。
しかし、中国の国有企業の第一の目的は
労働者の雇用の確保と、生活の保障です。
故に、国有企業は仕事が少なくても、
たくさんの人達の雇用を確保しなければなりませんので、
常にたくさんの余剰人員がいます。
一人当たりの仕事の負担は、
一部の人を除いて非常に軽くなっています。
私が丸紅の北京支店にいた時に、
以前、国家機関に勤めていた人が部下にいました。
国家機関の常識も国有企業と同様な様で、
与えられた仕事をおざなりに片付けると、
後は同僚とおしゃべりしたり、新聞を読んだり、
どこかへ行ってしまったり、
と日本の常識から考えると、無茶苦茶な勤務態度でした。
一度身に付いた勤務態度は、そう簡単には直せませんので、
以降、国家機関や国有企業の出身者は絶対に採用しない、
と心に決めた私でした。
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