第98回
中国でレストランを開く勇気、有りますか?
中国企業は金払いが悪いです。
商品を受け取った後も、何だかんだ理由を付けて、
商品代金を払ってきません。
そんな中で飲食業は現金商売なので、
売掛金が焦げ付く様な事態は考え難く、
比較的資金繰りが安定し易い業界です。
しかし、そんな飲食業でも、中国で開業すると、
日本では考えられない様なリスクが待ち受けています。
先日、北京で日本料理屋を経営している日本人の方に
お話を聞く機会がありました。
ある時、お客さんがえらい剣幕で怒っているので、
話を聞いてみると、こんな話だったそうです。
客 「コックが塩と砂糖を間違えて入れている。
こんなまずいもの食えん。すぐ下げろ」
彼 「いや、お客様、これはスキヤキと言って、
元々、砂糖を入れる料理なんですよ。
塩と砂糖を間違えて入れた訳ではございません」
客 「肉料理に砂糖を入れるなんて非常識だ。
そんな料理は有り得ない」
彼 「これは日本の伝統的な料理で。
(食べて見せて)ほら、私も平気でおいしく食べられます」
客 「もういいから下げろ。金は払わないからな」
スキヤキの他にも、
食べた料理の味が、自分が思い描いていたものと違うと
お金を払わない人が、時々いるそうです。
こうした例をもう一つ。
私のオフィスの裏手にある韓国焼肉は、
安くておいしいので、
夜はいつもお客さんでいっぱいです。
しかし、昼から焼肉を食べる人は少ないので、
昼の集客が課題でした。
そこでこのお店は、夜100元(1,500円)以上食べた人に
30元(450円)の昼食券を配る事にしました。
ある夜、このお店で焼肉を食べていると、
隣の男2人組が勘定でマネージャーともめていました。
ざっとこんな会話です。
客 「この券いらないから勘定から30元引け」
マ 「いや、これは次回、昼に来られた時にお使いください。
夜は使えないので」
客 「俺たちゃ2人とも遠くに住んでるから、
もうこの店には来ないんだよ。
こんなもんもらっても仕方が無いから、今30元引け」
マ 「この券にも書いてある通り、この券は昼用ですので」
客 「30元引かないんだったら全額払わねぇ。おい、行こうぜ」
マ 「あ、ちょっとお待ちください。代金をお支払い頂かないと」
中国でレストランを開業するなら、
こんな日本では考えられない様な事態も、
覚悟しておかなければなりません。
上記の様なお客がたちが悪いのは、
わざと因縁を付けている訳ではなく、
それぞれが至極正当な権利を主張している、
と考えている点です。
これでも皆さんは、中国でレストランを開く勇気、有りますか?
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