第86回
中国語はやはり、話せた方が

普段の仕事もなるべく中国語でやろうとしていたのですが、
現地のスタッフはみんな流暢な日本語を話しますので、
私がつたない中国語で仕事の指示を出すと、
日本語で返されてしまう、という状態でした。

その他には、週3回、始業前の1時間、
中国語の先生にオフィスに来てもらって、勉強をしました。
又、小さい日中、中日の辞書を常に持ち歩き、
分からない単語を見たり、聞いたりした場合は、
すぐに調べる事を習慣にしました。

そんな事を続けて赴任から3年ほど経つと、
何とか中国語を使って仕事が出来る様になりました。
中国語が話せなくても、普段の仕事は、
現地のスタッフが通訳をしてくれますので、
何ら支障無く進められるのですが、
やはり、中国語を使って仕事が出来る様になると、
現地スタッフや中国企業のお客さんの見る目が変わってきます。

現地スタッフとしては、柳田は東京の本社から派遣されて来て、
会社内の階級で言えば、自分より2つも3つも上なのですが、
中国でのこの商売を一番分かっているのは自分だし、
柳田は自分がいないと中国企業と交渉する事も出来ない、
と考える訳です。
こうなると、中国企業のお客さんと交渉していても、
いい加減な通訳をしたり、通訳せずに勝手に話を進めたり、
自分の思う方向に話を持っていったり、という事が起こってきます。

しかし、私が中国語で仕事が出来る様になると、
スタッフに頼らなくても
自分でお客さんと交渉をする事が出来ます。
通訳はスタッフにやらせるにしても、
スタッフはいいかげんな通訳が出来なくなります。

中国企業のお客さんとの関係もそうです。
中国語が話せない日本人と通訳が一緒に来れば、
お客さんはどうしても通訳の方を向いて話す事になります。
これが、私が中国語を話せる、となると、
お客さんは私の方を向いて話をしてくれます。
直接話をする事によって、
個人的な信頼関係も築く事が出来ます。

中国ビジネスを始めるに当たって、
取り敢えず日本語を話せるスタッフを雇えば、
中国語が話せなくてもビジネスを進める事は出来ます。
ビジネスのスピードという観点から見れば、
自分が中国語が話せない事を理由に、
ビジネスの展開を遅らせるべきではないと思います。

しかし、スタッフやお客さんとの人間関係、
という観点から見れば、
一生懸命勉強して、なるべく早い段階で、
中国語で仕事の話を出来る様にするべきかと思います。


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