第85回
電話を取るのが怖い
スピード感、という観点で言えば、中国語に関しても同様です。
確かに、中国でビジネスをするには、
中国語は話せた方が良いですが、
話せる様になってから中国ビジネスを始めるのでは遅すぎます。
私が丸紅の駐在員として北京支店に赴任した時は、
ほんの少ししか中国語を話せませんでした。
日本で約3年間にわたり、週1回、1時間半、
中国語教室に通っていたのですが、
やはり普段から中国語を使う環境に無いと、
なかなか「話せる」というレベルには達しないものです。
今、私が話している中国語の8割以上は、
こちらに来てから習得したものです。
赴任した当初は、中国企業の中国人からの電話を取るのが、
怖くて怖くて仕方ありませんでした。
たかが電話如き、と言われるかもしれませんが、
みなさん、オフィスで働いていて、
いきなり英語の電話が掛かってきたら、緊張しますよね。
それが、英語より更に分からない中国語で、
電話が掛かって来るのです。
それも取る電話取る電話、みんな怒った様な乱暴な口調で
(本当は怒ってないのですが、慣れないとそう聞こえます)。
しかし、私はこの恐怖を克服すべく、
自分でこんなマニュアルを作って、
なるべく積極的に電話出る様にしました。
柳「
(うぇいにぃはお、わんほんこんす、
もしもし、丸紅でございます)」
中「○○?(○○ざいま?、○○いますか?)」
いる場合、
柳「?(ざい、にーしーなーうぇい?、
います、どちら様でしょうか?)」
中「我是××公司的△△(うぉーしー××こんすだ△△、
私は××の△△です)」
柳「(にーしゃおどんいーしゃー、
少々お待ちください)」
外出の場合、
柳「
(たーちゅーちゅぃら。ほいらいほう、
らんたーげいにーほいでぃえんほぁば、
外出しております、戻りましたら折り返しお電話させます)」
しかし、実際の電話の会話は、
こんなマニュアル通りに進む訳も無く、
いきなり要件を中国語でまくし立てられて、
「お願い!誰か替わって!」
と周りのスタッフに助けを求める事が何度もありました。
仕事で電話を掛けてくる中国人にとっては、
訳の分からない日本人が電話に出て迷惑極まりないと思いますが、
私にとっては、
こうして実践で勉強させてもらう事は非常に有り難い事でした。
日本の中国語教室でも、こうした電話での会話は教えますが、
当然の如く、教科書通りの会話が通用する訳がありません。
やはり、取り敢えず中国に来てみて、
たくさん話して、たくさん聞く事が、
中国語上達の早道なのではないでしょうか。
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