第28回
ピンインと日本語発音の符合

私が中国語学がご専門の大野さんにさせて頂いた、
もう1つの質問とその回答をご紹介します。

■ 柳田さんからのQ(質問):ピンインと日本語発音の符合

中国語の発音でピンインの最後に「g」が付くか付かないかでは、
微妙に発音が違います。

私がピンインを覚える際に、先生から教わったのは、
日本語の音読みで発音してみて、
最後が「ん」で終わらない漢字はピンインの最後に「g」が付き、
最後が「ん」で終わる漢字はピンインの最後に「g」が付かない、
という見分け方です。
同じ「しん」でも、興(こう)はピンインで書くとXing、
新(しん)はXinになります。

確かにこの方法だと、100%例外無く
最後に「g」が付くか付かないかの区別が出来ます。

ピンインの最後に「g」が付くかどうかと、
日本語の発音で「ん」で終わるかどうかは、
なぜ例外無く符合するのでしょうか。

■ 大野さんからのA(答え)

これは、音韻体系を見ると一目瞭然です。
現代中国語で韻尾が「−ng」で終わるものは、
日本語の漢字音では、
最後が「−う/−い」になっているかと思います。

日本語の漢字音を歴史的仮名遣いで学習すると、
この点はより明確になります。
つまり、奈良・平安時代に日本語の漢字音で、
「−ん」と終わっていないものは、
すべて、当時の中国の発音でも、
「−ng」とは異なっていた公算が大きいです。

例としては、
「中」はzhongですが、歴史的仮名遣いでは「ちう」、
「湯」はtangですが、歴史的仮名遣いでは「たう」、
「京」はjingですが、歴史的仮名遣いでは「けい」、
「上」はshangですが、歴史的仮名遣いでは「しやう」、
「広」はguangですが、歴史的仮名遣いでは「かう」、
などです。

いや、大野さんありがとうございました。
これで長年の謎が解けてすっきりしました。

しかし、今回再認識させて頂いたのは、
「ハイハイQさんQさんデス」の読者の方の
知識レベルの高さです。
大野さんの他にも、様々な分野の専門家の方が
いらっしゃると思います。
そうした方々の英知を、このサイトを軸に組み合わせていったら、
とてつもない価値を生み出す事が出来ると思います。


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