第79回
経営学! 経営の基本のキホン その13

さて、実際に労働分配比率を使ってみましょう。

ここでは例として、脱サラしたタニグチ氏(仮名)が個人で経営しているオンラインショップ「大人のおもちゃ屋さん」の労働分配比率を算出してみます。
「大人のおもちゃ屋さん」のデータは以下のようになっています。
年商1000万円、仕入価格500万円、粗利益500万円、タニグチ氏の人件費360万円(1ヶ月30万円前後)。
これらの数字を公式に当てはめてみると。

  労働分配比率=360万円÷500万円×100=72%

なんと! タニグチ氏のバーチャルショップは事実上破綻していることが判明しました!(笑)
タニグチ氏の経営ミスの原因は明白です。まず、タニグチ氏の人件費が高すぎること。次に粗利益率の低さです。

それでは経営を改善してみましょう。まずタニグチ氏の人件費をカット。月給20万円、年収で240万円にしました。売上的には良好な年商なので、どうやら固定客が付いているようですが、タニグチ氏の価格設定が暴利を貪っているためマニアの客しかいません。

そこで、新規客を増やすために敢えて価格設定を20%下げてみました。その後、仕入先と交渉して仕入価格を10%割り引いてもらうことに成功。で、この時点での労働分配比率を算出してみました。

  240万円÷(800万円-450万円)=53%

72%よりはマシですが、まだまだ破綻寸前の状態です。しかし、価格設定を下げた効果がジワジワと現れ始め、1年後には売上が25%アップして1000万円台を回復しました。そこで、もう一度労働分配比率を算出してみると。

  240万円÷(1000万円-518万円)=49%

はぁー、なんとかギリギリのところで破産を回避できました。
しかし、経営を軌道に乗せるためには、もっと価格設定を下げて売上をアップさせること。それと、もっと粗利率を高めること。この2つが必須条件です。そこで仕入れ先の変更をタニグチ氏(仮名)に勧めたところ、「仕入れ先は愛人が経営してるので変更できまへん!」。

絶句……。


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2003年1月7日(火)

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