弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第760回
戸建だけの遺産分割

相続・遺産分割において、
主な遺産が自宅であった戸建しかない
というケースは結構あります。

結構あるからと言って争いがないかというと、
そうではありません。

相続人2人で自宅の土地建物を分けること考えてみます。
分け方は、3通りあります。

(1)わかりやすいのは、土地そのものを2つに分ける方法
(「現物分割」と言います。)

(2)売って代金を分ける方法(「換価分割」と言います)。

(3)一方の相続人が土地建物を相続し、
代わりに、他方の相続人にお金を払う方法
(「代償分割」と言います)。

相続人が子供2人で、土地を2つに分けても、
それぞれに戸建を建てられるくらい土地が広いというケースでは、
土地自体を2つに分けるという現物分割を取ることができます。
しかし、道路付けや間口の広さの問題等があり、
2つに分けるとしても境界線の引き方や
分けた後のどちら側を取るかで揉める可能性があります。

古くからの家は、土地を2つに分けても
戸建2軒建てるのに十分なくらい広い場合もありますが、
新しい家では、
土地を2つに分けることが難しいケースも多いです。

とすると、一方が土地建物を取って、
他方に2分の1の価値に相当するお金を払う
という代償分割を取ることが考えられます。

しかし、このケースでは、どちらが土地建物を取るのか、
どちらがお金を取るのかで、揉める可能性があります。
一方がお金でいいと言った場合に、
土地建物の評価をどうするかで揉める可能性があります。
お金を取る方は、土地建物はもっと高く売れるはずだと言って、
代償金を多くもらおうとしますし、
土地建物を取る方は、
土地建物は安くしか売れないはずだと言って、
支払う代償金を少なくしようとするからです。

また、遺産に現金や預金がない場合は、
家を取る方が代償金を支払うお金がないという場合もあります。

仕方がないので、土地建物を売って
その代金を二人で分けるというのが公平です。
しかし、自分が育った家を売ってしまうのか、
土地をいくらで売るのが良いのかなどで
やはり揉める可能性があります。


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2012年7月10日(火)

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