弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第729回
合同会社は役に立たない

みなさんに馴染みのない合同会社について、
読者からの質問への回答のついでに、説明します。

この合同会社、みなさんに馴染みがないのは、
わざわざ新しく法律で認めたにもかかわらず、
税法上の手当てがされなかったので、
合同会社を使うメリットが少なくなってしまったからなのです。

株式会社の場合、
株主は、会社の利益から税金を払って、配当を受けると、
その配当にも税金が課せられるという二重課税をされています。

これに対し、組合などの共同経営では、
会社という組織がないので、
直接共同経営者(各出資者)が
組合の利益を自分個人の所得として
税務申告すればよいこととなっていて、
会社の場合と異なり、二重課税がありません。

合同会社は、組織を組合でなく、
会社としてきちんとする一方で、
出資者の対外的な責任も軽くして、
しかも、組合のように、
各共同経営者(出資者)が
直接税金を払えばよい
という仕組みにする目的で作られたのだと思います。

しかし、実際は、税法上の手当てがなされず、
合同会社も、会社として、会社の利益に課税され、
出資者に配当をすると、
また課税されるという二重課税のままになっています。

そうすると、合同会社は、新しく認められた会社ですが、
会社の組織で、
出資者の対外的な責任が軽くなっているということは、
株式会社とあまり変わらない結果となっています。

だから、わざわざ株式会社と異なる
合同会社を使う人が少なくなっているのです。

そこで、合同会社について、
みなさんは、あまり知っておく必要はありません。

ただ、合同会社を設立して経営している人は、
前回お話ししたような株式会社との違いを
押さえておく必要があります。


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2012年3月13日(火)

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