弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第728回
合同会社の持分の払い戻し

みなさん、合同会社という種類の会社を知っていますか?
合同会社は商法が改正されて会社法という法律ができたときに、
新しく認められました。

合同会社では、出資者は、「社員」と呼ばれ、
全て会社の経営権(業務執行権)を持つこととなります。

ここでの「社員」は、出資者という意味で、
従業員を意味する社員ではありませんので、
注意が必要です。

出資持分の譲渡は、基本的に、
他の社員全員の同意がないとできません。

合同会社の出資者(社員)は、
持分会社の存続期間を定めなかったときは、
6か月前に予告すれば、
退社して、持ち分の払い戻しを受けることができます。

その他やむを得ない理由があると、退社することができ、
退社したときは、持ち分の払い戻しを受けることができます。

その持ち分の払い戻しは、どうやって計算するかというと、
資産から負債を引いた額(一般的に「純資産額」、
あるいは、「剰余金」と言います)を
出資した持ち分割合に応じて、
払い戻すということになります。

具体的に、500万円ずつ、
2人で出資して合計1000万円を出資して
合同会社を作ったけれども、
1人が退社する場合を例に説明しましょう。

飲食店で、厨房機器や造作、お店の保証金など、
帳簿上、資産が800万円、
借金などの負債は1000万円だとします。
すると、800万円−1000万円=−200万円となります。

そうなると、赤字なので、
払い戻しをするお金はないということになります。

これに対し、資産が800万円、
負債が0円という場合は、
800万円の2分の1である
400万円を払い戻すということになります。
 
今回、どうしてみなさんに馴染みのない
合同会社を取り上げたかと言いますと、
質問をいただいたからです。

質問の事案を詳しく全部を取り上げるわけにいかないので、
質問の一部を取り上げて回答したというわけです。


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2012年3月8日(木)

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