弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第691
遺言書があっても、1年以内なら

遺言書では、特定の相続人に、
全財産を相続させるという遺言も、多いです。

例えば、お父さんが、
3人兄弟(ABC)の長男Aにのみ全財産を相続させる
という遺言を書くケースです。

遺言が有効であれば、
長男Aが全財産を相続することになります。

この遺言書があれば、不動産も預金も、
長男Aが長男A名義に名義変更することが可能です。
しかし、遺言があっても、
他の兄弟(BC)は、法定相続分の2分の1を請求できます。

上の例で言えば、他の兄弟2人(BC)は、
法定相続分がそれぞれ3分の1ずつですから、
BとCはそれぞれ遺産の6分の1ずつを請求できるのです。
これを「遺留分減殺請求権
(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)」と言います。

ただし、注意しなければならないことがあります。
遺留分減殺請求権は、遺言の内容を知ってから、
1年しか行使できません。

相続が発生したとしても、
その分け方を決める遺産分割には時効がないので、
遺言があるケースでも、弁護士に相談するのは後でいい、
などと考えていると、すぐに1年は経過してしまいます。

遺言書で自分の相続する分がない、
あるいは、相続分が少なくされていた場合は、
すぐに、弁護士に相談する必要があります。

逆に言えば、遺言の内容を知ってから1年以内なら、
諦める必要はありません。
遺言書があると、法定相続分は取れなくなりますが、
かと言って、全部諦める必要もないのです。

遺言書がある相続でも弁護士に相談してください。
遺留分減殺請求権の請求期間を考えると、
むしろ、遺言書のあった場合の方が弁護士に
すぐに相談する必要があります。


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2011年10月18日(火)

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