第684回
弁護士志望の4割が就職できない
前回、司法試験は、
法科大学院に費用や労力をかけて卒業しても、
受験回数制限があり、合格率が約23%では、
かなりリスクが高いという話をしました。
司法試験のリスクが高いのは、
司法試験に合格していない受験生だけではありません。
司法試験に合格後もリスクがあります。
それは、せっかく司法試験に合格したのに、
就職先がない、弁護士として働けないというものです。
今年7月に、司法試験合格後に
国の研修を受けている司法修習生にアンケートを取ったところ、
弁護士志望の43%の修習生の就職先が未定だったそうです。
4割ですよ。
こうなると、個人の資質の問題ではなくなりますね。
ちなみに、新司法試験を実施してから、
日本弁護士連合会は、毎年同時期に、
同様のアンケートを取っているようですが、
就職未定率、8%、17%、24%、35%、
そして、今年の43%と毎年増えているということです。
以前、公認会計士も、合格者を増やしたせいで、
3分の1もの合格者が就職できないというニュースについて、
需要を読み違えて合格者を増やした
制度設計の問題だと言いましたが、
司法試験合格者も、
弁護士志望の4割もが就職できないとすれば、
制度設計に問題があると思われます。
制度設計者は、毎年、合格しても
弁護士として働けない者が
大量に出る状態が健全だというのであれば、
問題はないのかもしれませんが。
現在の司法試験は、
費用と労力をかけて法科大学院を卒業しても、
合格するという保証はなく、
合格したとしても、就職できる保証もないというものです。
こんな状態で、当初新司法試験で
予定していたサラリーマンを辞めて
弁護士など法曹を目指すようにする
という目標は達成できるのでしょうか。
優秀な人は、弁護士を目指さなくなると思いますが、
みなさんはどう思われますか。
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