弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第682回
離婚カウンセラー

前回、NHKの離婚についての番組を取り上げました。
番組では、離婚カウンセラーが弁護士と違う観点から
アドバイスをしているなどと取り上げられていました。

具体的には、10年間別居している妻が
離婚調停を申立したけれども
不調になってしまってどうしたらよいかという相談でした。

この相談に対して、たくさん回答していたのだとは思いますが、
番組で取りあげられたのは
「話し合いでもダメなら裁判でもやってやる
という強い気持ちで攻めて行けばよい」
というようなアドバイスでした。

カウンセラーということで、
精神的なアドバイスをするところを取り上げたのかもしれません。

10年間別居していて、
夫と離婚したい妻が知りたいのは、
自分は裁判をしたら離婚できるかどうかだと思うのです。

裁判をすれば離婚できるとわかっていれば、
夫に対しても、裁判してでも
別れるという強い気持ちを持てるでしょうし、
逆に、裁判しても別れることはできない
ということであれば、裁判しても別れる
という強い気持ちは持てないでしょう。

要するに、このケースでは、
過去の判例や法律論で、離婚できるケースなのか
離婚できないケースなのかが重要なポイントで、
その点が決まらなければ、いくら精神論で、
裁判しても離婚してやると思って
攻めて行けばよいとアドバイスしたところで
無駄なことです。

離婚カウンセラーも、過去の判例では、
離婚できるケースだから、
話し合いでもダメなら裁判でもやってやる
という強い気持ちで攻めて行けばよいと
アドバイスしていたかもしれません。

しかし、それでは、離婚カウンセラーのしていることは法律相談であり、
弁護士の業務となってしまいます。

僕には、この番組では
離婚カウンセラーの有用性はわかりませんでした。
NHKは、何のため離婚カウンセラーを取り上げたのでしょうか。

離婚したい場合、まず、
法律上離婚原因があるかどうかが問題で、
その判断ができるのは、弁護士ですから、
離婚したいとき、あるいは離婚したいと言われたときには、
弁護士のところに、行った方が良いと思います。


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2011年9月15日(木)

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