第670回
弁護士の卵の給料
前回、弁護士の年収についての記事についてお話ししました。
その調査を行ったのは
「法曹の養成に関するフォーラム」というところです。
現在、司法試験に合格した後で、
弁護士、裁判官、検察官になるには、
司法研修所というところで、1年間勉強しなければなりません。
これまでは、義務として、
勉強しなければならず、
その間は、アルバイトも禁止され、
将来の弁護士や裁判官、検察官
という公的な活動を行う者を育てるということから、
司法修習生には、国から給料が支払われていました。
しかし、合格者を大幅に増加させたことから、
合格者は20年前の500、600名から、
現在は2000名以上になり、国の財政も苦しいことから、
国から司法修習生の給料を支払うのを止めようとなったわけです。
このことは、以前も書きました。
本当は、昨年12月から、
弁護士などの卵である司法修習生の給料は、
廃止になるはずだったのですが、
弁護士等が反対し、民主党政権は、これを飲み、
暫定的に、給料が支払われています。
司法修習生の給料を廃止して、
貸し付けにした場合、
本当に、弁護士になる人はいなくなってしまうのか、
弁護士は経済的に困るのか、ということを調査したのが、
「法曹の養成に関するフォーラム」
による弁護士の収入等の調査です。
年収2000万円という表現はさておき、
収入から経費を引いた所得で見ても、
弁護士経験6年目以上で
600万円を超えている人が約8割だそうです。
世間で思われているほど高収入ではありませんが、
今のところ他の職業と比較すれば
恵まれていることに違いありません。
(弁護士が激増しているので将来的にはわかりません)
以前も申しあげたように、
自分は国から給料をもらって勉強しておいて申し訳ないし、
国がお金を出して弁護士や
裁判官などの法曹を育てる意義もあると思いますが、
現在の国の財政の厳しさを考えたら、
1年分の給料を貸付けにされてもやむを得ないと思います。
「法曹の養成に関するフォーラム」も、
調査結果に基づき給料から貸付けにすべきとの意見を出す予定で、
政府もそれに従う予定ということのようです。
いつも言っていますが、
弁護士になるのにお金がかかることを問題にするなら、
2年も3年も学費を払って行かなければならず、
その間の生活費も自分で出さなければならない
法科大学院の方が司法修習よりも経済的負担は重いと思います。 |