第648回
ライブドア元社長の上告棄却
ライブドアの元社長が証券取引法違反で有罪とされ、
最高裁に上告していた事件で、
上告が棄却されたことは、
みなさんご存じのとおりです。
さて、この最高裁での審理は、書面審理で、
基本的に法廷が開かれません、法廷が開かれるのは、
控訴審判決がひっくり返るときと決まっています。
しかも、いつごろ、判決が出るかは、わかりません。
簡易裁判所、地方裁判所、
高等裁判所という最高裁判所以外の裁判では、訴えを起こせば、
第1回期日が決められ、何回か裁判が開かれた後で、
判決日が決められて、判決がされます。
しかし、最高裁では、上告を申し立てた後は、
判決がどれくらいで出るかは、全く分からない状態にあります。
難しい事案だったのかもしれませんが、
ライブドア元社長の事件は、上告がなされたのは、
控訴審判決の出た平成20年7月25日です。
その後、約3年もかかっているのです。
3年もの間、当事者をいつ判決が出るかわからない
はっきりしない状態に置いておくということは、
当事者の不安な気持ちを全く無視するものだと思います。
最高裁は、裁判官がたった15人しかいなくて、
ものすごい事件数があるので、
順番がいつ来るかわからないということもありますし、
その事件が簡単なのか、難しいのかも、
担当裁判官全員が記録を読まないとわからない
ということもわかります。
しかし、最高裁に係属し、順番待ちしている事件数はわかるし、
記録が厚いか薄いか、
問題点が難しいのか簡単なのかもわかることから、
例えば、上告して3カ月後に、その日から判決がすぐ出るか、
そこから半年かかるのか、1年間かかりそうなのか、
などの目安を当事者に報告すべきだと思うのです。
裁判も、国民へのサービスの1つであり、
いつごろまでに判決を出すのか目安を教えて
予測可能性を与えるのは、当然のことでしょう。
国民は、黙って裁判所が判決を出すまで待っていろというのは、
傲慢だと思います。
こんなこと簡単に変えられると思うので、
司法改革では、まず、
この点を変えてもらいたいと思います。 |