第639回
最高裁が敷引特約は有効
最近、賃貸借契約については、
礼金や更新料を取るのが有効か無効か、
などが争われていて、
更新料については、判例の結論が分かれています。
その議論の基になっているのは、
消費者契約法という法律です。
消費者契約法は、消費者は、事業者のように、
契約について知識や経験がないことから、
不利な契約を結ばされやすいということから、
消費者に一方的な不利な契約は無効とされています。
そこで、賃貸借契約における礼金や更新料は、
消費者契約法に基づき、
消費者に一方的に不利だから無効だとして、
裁判で争われているのです。
ここで、忘れてはいけないのは、
アパートやマンション、事務所や店舗を借りる契約は、
すべて賃貸借契約ですが、
消費者契約法が適用されるのは、
消費者だけであって、
事業者には適用がないということです。
アパートやマンション、
事務所や店舗を貸している方の相談に乗ることが多いのですが、
借りている方は何とか自分の負担を免れようとしますから、
更新料は無効だとする判例が出たと聞くと、
それを理由に更新料を支払わない
などと主張するケースが多くなります。
しかし、更新料について無効だとする判例が出ているとしても、
それは、消費者との賃貸借契約であって、
事業者との賃貸借契約においてではありません。
事業者との賃貸借契約では、
基本的には、礼金や更新料も、契約書で定めてあれば、
契約は有効となります。
さて、そのような中での敷引特約の有効性について、
最高裁判決が出ました。
もちろん、この裁判は、
消費者である借主と貸主との間のもので、
消費者である借主が貸主に対し、
消費者契約法に基づき、敷引特約は無効だから、
敷引をして返還しなかった金額を返せと裁判を起こしたものです。
結論としては、最高裁は、
消費者契約法があっても敷引特約は有効としました。
その内容の解説は、次回にします。
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