第637回
地震の際の火災で保険金は
今回の地震では、
津波による被害がクローズアップされていますが、
一部で火災もあったようです。
阪神淡路大震災の際は、
火災が多数起きたことから、
通常の火災保険で保険金が出るか
という点が裁判で争われました。
争いになった事例は、
地震後しばらくして火事が起きたときに、
地震によって、発見が遅れたり、
消火活動ができなかったりして、
全焼してしまったケースです。
被害者は、地震後しばらくして起きた火災だから、
地震による火災ではないと主張して、保険金を請求しました。
しかし、保険会社は、地震がなければ、
早期に発見でき、
速やかに消火活動もできて、
全焼もしなかったことから、
地震による火災だと主張して、争いました。
前提として、みなさんもご存じのとおり、
通常の火災保険では、
地震による火災の被害に対しては、保険金が出ません。
裁判所は、上記のようなケースでは、
地震が直接の原因の火災ではないけれども、
地震が原因となって火災が燃え広がり、
被害が拡大したのだから、
地震による火災だとして、保険金請求を認めませんでした。
その他にも、
地震による火災は保険金が出ないとする
地震の免責特約が無効だとか、
地震による免責特約について
保険会社の説明がなかったなどと争ったケースがありましたが、
なかなか保険金の請求は認められなかったようです。
地震はいつ来るかわかりませんが、
地震の際の被害は、
通常の火災保険では、補償されないということです。 |