弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第602回
貸付金や売掛金は売却できる

貸付金や売掛金のように、
お金を請求できる権利を「債権」と言います。

債権の中には、国債や社債のように証券化されたものがあり、
これらは、投資対象として、市場で売買されています。

そこで、これらの証券化された債権が売買が可能であることは、
みなさん、よくご存知だと思います。
今日の話は、証券化されていない債権のお話です。

債権は、証券化されていなくても、
法律上、譲渡は可能です。
どのように譲渡するかというと、
まず、譲渡の当事者間で譲渡契約書を交わします。

そして、売主から請求先(「第三債務者」と言います)に、
債権を買主に譲渡した旨を内容証明郵便で通知します。

このように、債権も財産として、譲渡が可能なのですが、
債権譲渡は、一般の会社や個人の方が行うケースは
少ないと思います。

その理由は、一般の債権は、土地や建物に関する所有権と違って、
取り立ててはじめてお金になるもので、
第三債務者が約束どおり支払えるのかどうかは、
債権を買おうとする人にとってわかりにくいからです。

また、会社同士の取引の契約書には、
債権の譲渡を禁止しているものも多いです。

だいたい、一般の人が債権を売ろうと考えるのは、
なかなか回収ができない、不良債権が多いと思います。

しかし、この不良債権を買い取って、
取立てを行うことは、
弁護士法やサービサー法に違反する可能性があるのです。

このようなことがあって、
債権譲渡は、債権の換金手段なのですが、
売掛金や貸付金といった一般の債権については、
あまり利用されていません。

ちなみに、手形は、制度化された債権譲渡です。
受取人の振出人に対する債権が、手形の裏書によって、
どんどん譲渡されていくわけです。


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2010年11月16日(火)

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