弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第573回
弁護士の就職難も会計士並みに

今日のタイトルを読んで、
弁護士の就職難が会計士並みというのは、
良くなったということなのか、
悪くなったということなのか
わからない人も多かったと思います。 

しかし、僕の連載を続けて読んでくれた人はわかったと思います。

今年の初めに、「公認会計士も就職難」というタイトルで、
公認会計士は、
合格者を増やしたら合格者の3分の1も就職ができない
という新聞記事を読んで、
それは制度設計が間違っているんじゃないのかということと、
それは弁護士の就職難よりもひどいということを書きました。

ところが、毎日新聞によれば、
新司法試験に合格して、
司法修習を受けている弁護士希望者のうち
4割以上が就職先が未定だそうです。

12月に修習を終了する予定なので、まだ時間はありますが、
このままだと、公認会計士のように、
3分の1が就職できないとなってしまいそうです。

そこで、今日のコラムのタイトルとなり、
その意味は、弁護士の就職難も
公認会計士並みにひどくなっているとなっています。

日本経済が停滞すると、
会計監査を必要とする企業の数が減りますから、
公認会計士の仕事は減ります。

みなさん意外のようですが、
経済が停滞すると弁護士の仕事も減ります。

景気が悪くなれば、
顧問料を支払う余裕が無くなる会社も増えますし、
未払代金の請求や貸金請求の訴訟をしても、
相手から回収できないということが増えるので、
依頼そのものも減りますし、弁護士報酬も減ることとなります。

そういう状況で、
新たに弁護士を雇おうとする法律事務所も減る
ということになります。

弁護士会も、司法試験合格者を増やしてから、
司法試験合格者が就職できるように、
雇う余裕がある事務所は、
なるべく雇うよう働きかけを行ってきたけれども、
合格者増員に、不景気も重なり、
毎年就職先未定の率は増加しており、
新人弁護士に対する需要が飽和してきたのかもしれません。

これまでにも言ったかもしれませんが、
試験に合格するためには、
お金のかかる法科大学院に行かなければならず、
法科大学院を卒業しても
司法試験に合格するのも難しくて、
その難しい試験に通っても就職先がないなんて、
そんな職業に就きたいと思う
多様で優秀な人材はいるのでしょうか?


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2010年8月3日(火)

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