第567回
訴訟の半数は、過払利息返還請求
2010年の上半期も終わってしまいましたが、
2009年の話をします。
2009年の東京地裁の通常訴訟は、
かなり増えており、約3万9000件だったそうです。
(記事によっては約4万4000件というものもありました。
どちらが正しいのかは確認できません)
その半数以上の約2万2000件が
消費者金融に対する利息の過払金の返還請求訴訟だそうです。
以前お話したこともあると思いますが、
以前の消費者金融の利息は、
利息制限法という法律が定める金利より高かったのです。
その差額が積もり積もると元本を完済し、
さらには、消費者金融が利息を取り過ぎている
(要するに、過払い)ということになり、
お金が戻ってくるということになります。
どうして、上場までしている会社もある消費者金融が
そんなに利息を取り過ぎているかというと、
貸金業法という法律が、利息制限法に違反する金利でも、
一定の要件を満たせばとることを許していたからです。
消費者金融は、その要件を満たしていると考えて、
利息制限法以上の金利を取っていたのですが、
数年前に、最高裁判所が、要件を厳しく解釈して、
実際上、利息制限法に違反した金利を
取ることが認められないこととなったのです。
そこで、消費者金融に対する
過払金の返還請求が急増したのです。
過払金の返還請求が急増すると、
以前は訴訟前の交渉で返還していた消費者金融も、
だんだん返せなくなっていきます。
そこで、任意の交渉で返さないなら、
訴訟を起こすということで、
過払金の返還を求める訴訟は、急増したのです。
ただ、先日、お伝えしたように、
貸金業法が改正されて、
利息制限法を超えた金利は
ほとんど取れないように改正されたので、
今後の借り入れについては、過払金は発生しなくなりますから、
徐々に過払金の返還請求訴訟は減少していくと思います。
ただ、これまで借りた分の利息は、貸金業法が改正されても、
これまでどおりの高金利を取ることが可能なので、
過払金が発生する余地はあります。
もちろん、これまで払った利息は、
利息制限法を超えているでしょうから、
過払金が発生している可能性はあります。
だから、しばらくは、
過払金の返還請求訴訟は減らないかもしれません。 |