弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第562回
倒産前の資産隠しは犯罪です

会社が、破産や民事再生手続といった倒産手続を取る際に、
誰もが思うのが、多かれ少なかれ、
今ある財産を倒産手続後も残せないかということです。

そういう質問はよく受けます。
しかし、弁護士は、資産隠しをよいとは言えません。
むしろ、資産隠しと思われる行為をすると、
破産法や民事再生法上、犯罪となるし、
個人の破産のケースであれば、
借金を払わなくてよいという免責決定が出なくなる
というアドバイスをせざるを得ません。

破産や民事再生手続を取ると、
債権者は、債権の全部又は大部分を回収できなくなります。

それにもかかわらず、
破産や民事再生手続で債務を免れた会社や
個人が財産を残していたら、債権者は納得しないでしょう。

このようなことから、資産隠しについては、
単なる民事の問題だけでなく、犯罪とされています。

それにもかかわらず、倒産前に、
大規模に資産隠しを行ったのが、
大手商工ローンSFCGの元会長ですね。

債権や不動産などかなり大掛かりに、
名義を親族会社などに変更して、
資産隠しをしたようです。

そして、遂に、先日逮捕されてしまいました。
容疑は否認しているようです。

報道によると、逮捕容疑は400億円くらいの資産隠し
及び背任ということですが、
合計で2千億円もの資産を隠した疑いがあるようです。

これを回収すれば、債権者への配当額は
かなり増えると思われますから、
この逮捕をきっかけとして、
管財人には、頑張って回収してもらいたいところです。

また、元会長については、
容疑が事実であれば倒産前に
これだけ大規模に資産隠しをしたのは前代未聞であり、
通常の債務者は泣く泣く諦めているのですから、
こんなことが許されてはいけないと思うので、
厳しく罰してもらいたいものです。 


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2010年6月22日(火)

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