第549回
裁判官の交代で有利、不利に
裁判官は、公務員なので、
基本的には、4月に人事異動があります。
裁判官は、地元などとの癒着を避けるためや
特定の裁判官が暮らしやすい
大都市に長くいることを避けるためなどから、
2年くらいで、異動となります。
そこで、裁判の途中で、
裁判官が交代することも珍しくありません。
簡単な事案や裁判があまり進んでいない事案では、
裁判官の交代はあまり影響を与えません。
しかし、どちらの結論になるか難しい裁判では、
裁判官の交代により、結論に影響が出る場合があります。
人によって、物の見方が違うからです。
事案が複雑で、長年争ってきた裁判についても、
裁判官が交代することによって、
影響が出ることがあります。
裁判官がこれまでの争いについて、
当事者の主張や提出してある証拠について、
把握して、理解するのに時間がかかるからです。
ただでさえ、訴訟に時間がかかっているのに、
裁判官が交代した結果、
さらに、時間がかかってしまうということになります。
裁判官の交代は、
有利になることもあれば、不利になることもあります。
裁判官は、どちらが有利とは言わない人も多いですが、
和解のときなどは、
どちらを有利と考えているかで、
どちらよりの金額になるかが変わって来るので、
そこから裁判官がどちらを有利と考えているかを探ります。
一番困るのが、
前の裁判官がこちらに有利な前提で和解の話をしていて、
新しい裁判官が
こちらに不利な和解をするよう言って来たときですね。
当たり前ですが、不利な案から有利な案なら、
了承しやすいですが、
一度有利と言われていたのが急に不利になると言われても、
なかなか納得できないからです。
もちろん、そのようなことは滅多にありません。
しかし、一審と二審あるいは
最高裁で結論が変わるとうこともあるので、
同じ一審でも裁判官が交代すると、
結論が変わるということがあるのです。
だから、有利と言われているときは、
裁判官が交代しないうちに、
解決してしまった方がよいかもしれません。 |