弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第541回
資産を隠して自己破産したら

Q 債務者が資産を隠して自己破産の申立をして、
免責決定が確定してしまいました。

債権者としては、資産を隠していたことを証明できても、
どうにもならないのでしょうか。

A 債務者が自己破産の申立をして、
免責決定が確定すると、
税金などの一部の債権を除いて、
債権者は債務者に対し支払を請求することも、
強制することもできなくなります。 

しかし、本来、債務者が自己破産するときに、
資産隠しをしていた場合は、免責が出ません。
資産隠しは免責不許可事由になっているからです。

質問は、この免責不許可事由を裁判所が見過ごして、
免責決定が確定した場合には、
債権者は、どうすることもできないのかということです。

破産法は、債務者が資産隠しなどの不正をして
免責を取ったような場合まで、
無制限に許すことはしていません。

債権者は、免責決定確定後1年以内であれば、
債務者が資産隠しなどの不正な方法により
免責を得たことを理由に、
免責の取消を申し立てることができます。

また、免責が出たとしても、資産を隠して破産したことは、
詐欺破産罪という犯罪行為に当たるので、
刑事告訴も可能です。

したがって、例えば、
裁判所に明らかにしなかった預金口座や
株式、不動産など資産隠しの証拠があるのであれば、
それを証拠として付けて、
免責取消の申立をすればよいと思います。 


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2010年3月30日(火)

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