弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第540回
それでも、二代目しかいない

以前、企業経営者の二代目が不祥事を起こすと、
やっぱり二代目だから、という目で見られてしまう
という話をしました。

それでは、企業を二代目以外に任せられるかというのが、
今回のお話です。

高度成長期に起業した企業の経営者は、高齢化し、
引退の時期が来ています。
そこで、新しい経営者への引継ぎが問題となっています。
この企業の経営者の交代は、「事業承継」と呼ばれています。

この事業承継では、
新しい経営者の能力や資質の問題もあるのですが、
法律上は、会社の株式と
借金を誰が引き継いでいくのかということが問題となります。

会社の意思決定権は、
基本的に株式を過半数持っている人にありますし、
会社の借入については、
中小企業では、経営者が連帯保証をしているのが普通だからです。

黒字の会社の株式を第三者が売買で承継するとなると、
多額の代金が必要となります。
これに対して、二代目であれば、
相続により、対価は必要ありません。

相続税の問題はありますが、
相続税は軽減措置がありますし、
売買で取得する場合の対価よりも金額は当然低くなります。

また、会社の借入に対する連帯保証は、
会社の資産で十分担保価値があるのであれば、
第三者が承継することで、銀行は同意するでしょうが、
現在の経営者の自宅などの資産が担保となっている場合には、
元の経営者の連帯保証を外して第三者に承継させることには、
銀行は同意しない可能性があります。

このように法的な側面から、
株式や連帯保証の承継ということを考えると、
やっぱり二代目以外の第三者に事業を承継させるのは難しい
ということになります。

それでも二代目しかいない、のです。


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2010年3月25日(木)

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