第487回
更新料。貸主が高裁でも敗訴
7月に、初めて、裁判所が、貸主に対し、
借主に更新料を返還するよう
命令する判決を出したことは、
以前このコラムで取り上げました。
そのときは、更新料を支払うという
契約の規定を無効とする初めての判決で、
更新料の規定が有効とする判決の方が多かったこと、
また、判決がまだ第一審のものだったことから、
今後どうなって行くかなどという感じで取り上げました。
しかし、今度は、7月の判決とは別事件で、
しかも、高裁(高等裁判所のことです)段階で、
更新料の規定は有効だとした第一審の判決を覆し、
更新料の規定は無効だとする判決が出たのです。
地裁(地方裁判所のことです)や
簡裁(簡易裁判所のことです)の第一審と
高裁の判決の重みは違います。
第一審で1つだけだと、変わり者の裁判官もいるし、
例外的な判決かもしれないという扱いもできます。
しかし、高裁は、
地裁の裁判長クラス以上の裁判官が3人で判断します。
しかも、一般的に、高裁は、
最高裁よりも保守的で、
斬新な判決が出る可能性は少ないと言われています。
(噂の域を出ませんが)
したがって、高裁が、
更新料を無効とする判断を出したということは、
最高裁でも更新料は無効とされる可能性があります。
新聞報道によると、貸主は上告したようなので、
最終的に、最高裁(最高裁判所のことです)が
どう判断するかということになってきました。
更新料をもらってよいのか?
更新料は払わなければならないのか?
最高裁判決の出ていない今は、
中途半端な状態にあります。
どちらの結論になるかはわかりませんが、
最高裁の判断が早期に出されないと、
賃貸借の現場は混乱することになると思います。
ちなみに、前回更新料を取り上げたときにも言いましたが、
更新料を無効とする根拠は
消費者契約法なので、
会社などの事業者には適用がありません。
そこで、会社など事業者との
更新料の契約は有効ですから、
払わないとか返還せよとかの問題は生じませんので、
ご注意ください。 |