弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第451回
ネットの投資は自己責任

前回、マイカル社債を購入して損害を受けた人たちが
証券会社を訴えて損害賠償請求が認められた
というお話をしました。

株の取引でのトラブルは、
証券会社の営業マンが儲かると言ったけど
損をしたというものと思われます。

これは、株だけではなく、
商品先物取引などもそうです。

当然のことながら、法律では、
儲かると説明して、投資商品を販売することを禁止しています。
これを「断定的利益判断の提供」と言います。

しかし、一般の人は、投資は利益を得るために、
即ち儲けるためにするのであって、
証券会社などの営業マンも売るためには、
多かれ少なかれ儲かると言わないと
誰も投資をしてくれないという事情があります。

このように、顧客のニーズがあり、
営業マンも売らないと会社が収入を得られませんから、
あるいは、給料が増えませんから、
「断定的利益判断の提供」はなされやすいということになります。

厳密に言うと、断定なのかどうかは難しいし、
また、言った、言わないの問題は生じがちです。

この点、ネットによる投資であれば、
投資の注文は、自分で、
資料や世の中の情勢を判断して行うことから、
営業マンのセールストークで勧められるままに投資する
ということは少なくなります。

そういう意味では、ネット取引では、
真の自己責任に基づく投資がなされるのではないかと思います。

ただ、全ての人が自分の判断で、
ネットで投資をするとなると、
証券会社など投資商品を販売している会社は、
これまでのように、セールストークで販売して、
たくさんの手数料を取る
ということは難しくなってくると思います。

ネットによる投資は、少ない手数料で、
誰でも参加しやすく、しかも、
自己責任で投資するものですから、
投資市場を健全化していると思います。


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2009年4月23日(木)

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