弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第450回
マイカル社債販売で賠償責任

マイカルは、スーパーや百貨店を経営していた会社で、
今は、イオングループに属していますがが、
以前は、独立した上場会社でした。

マイカルは、社債を発行していて、
この社債がマイカルの破綻によって、
約束どおり支払われなかったことから、
社債を購入した人たちが、
証券会社に対し損害賠償を求めて起こした裁判について、
判決が出ました。

マイカルの社債に関する裁判は、いくつもあるようで、
今回出たのは、東京高裁の4月16日の判決です。

社債を買った会社が倒産したからといって、
直ちに、それを売った証券会社に
責任が発生するわけではありません。

今回のマイカルの裁判においても、
損害賠償請求が認められたのは、14人中4人だけです。
しかも、その4人も第1審では、
敗訴していたのを、控訴審で逆転したものです。

今回、東京高裁が、証券会社に賠償責任を認めた理由としては、
新聞報道(毎日新聞)によれば、
証券会社が、マイカルが2001年1月11日、
経営悪化で社長辞任を発表し、
同24日、再建断念を公表した経緯を踏まえ、
同12日、同19日購入の2人に実勢価格を伝えず、
それを上回る価格で買わせた。

2001年5月購入の2人に再建断念の事実を伝えなかった。
ことのようです。
 
破綻の事実が明らかになったにもかかわらず、
それを説明せずに、マイカルの社債を売却したことが、
説明義務違反と判断されたようです。

株の取引で、損害賠償責任が認められる理由の主なものは、
説明義務違反です。
金融商品取引法により、
以前より証券会社の説明義務は重くなっています。

ただ、いくら説明義務が重くても、
書面に書いてある以外のことは、裁判上言った、
言わないの立証の問題などがあり、
なかなか勝訴するのは難しいです。

営業マンのセールストークには
乗らないことが賢明です。


←前回記事へ

2009年4月21日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ