弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第426回
相手が遺産を隠している

遺産分割の相談や依頼で多いのは、
兄弟が、親の遺産を隠しているので、
どうにかならないかというものです。

亡くなったお父さんやお母さんと一緒に住んでいた長男や長女が、
自分が面倒を見ていたのだから、
あるいは、自分が長男だからという理由で、
遺産を独り占めしようとして、
その内容を他の兄弟に見せないということは、
よくあることです。

だから、相続でトラブルになるのですが。
もちろん、親の遺産に関する書類を預かっている兄弟は、
他の兄弟に見せる義務はあります。

遺産分割が決まるまでは、遺産は全て相続人の共有ですから、
それに関する書類も兄弟の共有ということになるからです。
だから、親の遺産に関する書類は、
他の相続人に見せなければならないのです。

だから、見せるように交渉するというのが1つの方法です。
ただ、見せる義務があると言っても、
すぐに応じる人ばかりではありません。

そこで、どうするかです。

1 預貯金や株式について
  預貯金がありそうな銀行や郵便局に行って、
  残高証明書を出してもらいましょう。
  これで、遺産となる預貯金の残高はわかります。
  預貯金は、名義人が亡くなったことを届けると
  入出金ができなくなります。
  通帳と印鑑を預かっている兄弟が、
  預金を下ろしてしまうおそれがある場合には、
  名義人が亡くなったことを銀行や
  郵便局に届けてしまった方がよいと思います。
  株式についても、証券会社に、
  残高証明書を出してもらえばよいと思います。

2 不動産について
  不動産所在の市町村に固定資産税評価証明書や
  名寄帳を取り寄せることにより、調べることができます。
  ただし、不動産所在の
  市町村ごとにしか集計されていないので、
  どこにあるかわからない場合は、
  取り敢えず、ありそうな市町村に
  申請してみるということになります。

相続や遺産分割では、このような問題が生じますので、
後で兄弟でトラブルにならないよう
ご両親は、生前にお子さんに
ある程度どのような財産があるかを
知らせておく必要があるでしょうし、
お子さんの方はご両親に
どのような財産を持っているか確認しておく必要があります。

ご両親が、生前にはお子さんに
財産を教えたくない場合もありますが、
そのときは遺言を書いて、
弁護士に託しておくのがよいと思います。


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2009年1月22日(木)

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